「ビジネスモデル維持できない」危機感
メガバンクといえば、全国に張り巡らせた店舗網と巨大な銀行システムを基礎に、預金を集め、融資をして収益をあげてきた。だが、人口が減少する中、日銀の異次元金融緩和で超低金利が長引き、融資ではほとんど利益が出ない状況。「莫大な固定費をかけて預金を運用するビジネスモデルは維持できない」(坂井社長)という認識が、今回の巨額損失処理を決断させたのだ。
ただ、みずほの決断はいかにも遅いというのが金融界の大方の見方だ。三菱UFJFGや三井住友FGはすでに2018年3月期中に店舗の減損処理を終えている。それでも、同期の純利益で首位・三菱UFJを約4000億円下回った。三菱UFJや三井住友は、それぞれ海外事業やリース事業など、国内銀行業以外の収益源を育てているが、みずほにはそうした強みは見当たらず、「稼ぐ力」の見劣りは明らかだ。
特にみずほの懸念材料は自己資本不足だ。不足と言っても、国際業務をできなくなる水準ではないが、自己資本比率は三井住友の14%台、三菱UFJの11%台に対し、みずほは9%台にとどまる。
自己資本の厚さは投資余力に直結する。三井住友は従来から収益性のいいリース事業に力を入れており、三菱UFJも独銀から航空機ファイナンス事業を7000億円超で買収するなど、M&Aを積極的に進めている。両グループは海外展開も着々と進め、「M&A含めた成長投資に資本を投じる」(三井住友)と、前向きだ。