紙不足深刻で印刷会社相次ぎ「注文制限」  同人誌製作への影響も...「例年より早めの注文を」

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   用紙の供給不足などを理由に、印刷会社が軒並み「注文制限」を強いられている。

   解除の見通しは立たず、影響を真正面から受ける同人誌関係者からは不安の声が上がっている。いったい、何が起きているのか。

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「GWや夏コミ大丈夫なのか?」

   ラクスル、プリントパック、東京カラー印刷、グラフィックと、印刷各社が注文の集中や用紙の供給不足を理由に、一部の注文を制限している。再開はいずれも未定だ。

   グラフィックの担当者は2019年3月20日、J-CASTニュースの取材に「年度末にともない受注が集中し、仕入れが難しい状況」と話す。

   悲鳴を上げるのは、あおりをもろに受ける同人誌製作者だ。同人誌販売イベントは4月末から5月にかけての大型連休に多数開催される。このまま注文制限が続けば、製作者は死活問題だろう。

   ツイッター上では、「同人界隈にはキツイ話」「紙不足で同人誌出せない展開が来てしまうのか」と不安が広がっている。

背景に製紙メーカーの強硬姿勢

   同人誌印刷を手がける栄光(広島県福山市)も用紙の調達に苦労している。製紙メーカーが供給を絞ったのに加え、値上げを決定したためだ。岡田一社長は取材に対し、「今回の場合は値上げ幅が大きすぎる」と不満を漏らす。

   岡田社長によれば、製紙メーカーは例年、10%ほどの値上げを要求するものの、浸透せずに徐々に下がるケースが多い。しかし今回の値上げは、製紙各社が足並みをそろえて踏み切り、交渉の余地はほとんどなかったという。

   製紙大手の王子製紙、日本製紙は19年1月出荷分から10~20%の幅で用紙の値上げを発表している。両社は値上げ理由を「原燃料価格と物流費の上昇」と説明する。

   日本製紙の2019年3月期第3四半期決算(18年4~12月)では、純利益が389億円の赤字(前年同期は76億円の黒字)に落ち込んだ。デジタル化やペーパーレス化の波で印刷用紙の需要が低迷し、「紙事業」で苦戦したためだ。そのため、成長分野である段ボール事業に経営資源を集中させ、紙事業は生産体制の見直しによるコストダウンを進めている。業績次第では紙の減産を進める可能性もある。

   岡田社長は、「今年の10連休は不測の事態に対応できない場合があるので、注文は例年よりも早めにお願いしていただきたいです」と要請した。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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