「ジュゴンの死」は辺野古埋め立てと関係があるのか 今帰仁の沖に浮かんだ亡骸

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   2019年3月19日午後5時ごろ、沖縄県今帰仁村の沖合でジュゴンの死骸が見つかった事案。ジュゴンに詳しい関係者によると、「沖縄防衛局が確認している3頭のうち、個体Bの特徴を確認できた」という。

   辺野古では、普天間飛行場移設に伴う埋め立て工事が進められている。ジュゴンの死への影響は―。

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「かなりショックですね」

   ジュゴンは絶滅危惧種の海生生物。海草を餌にしており、沖縄本島周辺に生息しているとされる。海草は希少とされており、辺野古の埋め立て工事が行われている沖合は、ジュゴンの餌場とされている。

   J-CASTニュース編集部で19日、今帰仁漁業協同組合などに確認したところによると、今帰仁村の運天漁港から150メートルの沖合でジュゴンのようなものが浮いているのを、組合員の男性が発見して連絡。陸揚げしたが、すでに死んでいる状態だったという。その後、死骸はジュゴンだと確認された。

   ジュゴンの死骸は現在、今帰仁村が冷凍施設で保管している。経済課の担当者は19日、編集部の電話取材に対して、「外傷はそんなに多くないがところどころに傷があり、胸びれの部分に切り口みたいのがあった。漂流しているときについているのかと思うがよくわからない。どういった原因か詳しくわからない」などと話していた。体長は約3メートルでメスだという。今後の解剖については、「関係団体と調整し協議をしていく。現段階では死因等はわからない」と答えるにとどめた。

   ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局長は19日、J-CASTニュース編集部の取材に対し、沖縄防衛局が確認している3頭のうちの「個体B」の特徴を確認。「左の腰のあたりで『への字』にへこんだ部分があり、今回の死骸で特徴を確認できた。ほぼ確実に個体Bではないか」と話し、次のように思いを明かした。

「沖縄防衛局が確認していた3頭のうち、(個体)Cが2015年で行方不明になって、2018年に個体Aが行方不明になっていて、唯一今年の1月までに確認されていたのが個体Bだった。ほかの個体は行方不明で死体を確認しているわけではないが、今回確実に個体Bはいないという現実を突きつけられたので、かなりショックですね」(細川さん)

   一方、辺野古で進められている基地建設との関係について細川さんは、「個体Bに関しては主な生息海域が古宇利だったので、辺野古の基地建設とは関係ないと思う」としていた。ジュゴン保護キャンペーンセンターの蜷川義章事務局長も「個体AとCは間違いなく工事の影響だが、Bについてはそこまでわからない。専門家の結果(次第)と思っている」としていた。

土砂運搬船を避けて移動の可能性も?

   一方、自然保護などを訴える公益財団法人、日本自然保護協会は19日、J-CASTニュース編集部の取材に対し、日本政府に辺野古の埋め立て工事の即時中断を求める意見書を送ったことを明かした。同協会の意見書では個体Bについて、「西から東へと移動する埋立土砂の運搬船の影響を受ける可能性が指摘されてきた」などと触れている。土砂運搬船は本部地区で土砂を積み、北部を回って東へ移動するという。

   同協会の安部真理子主任は19日、J-CASTニュース編集部の取材に対し、次のように答えた。

「事業者に聞くと、『ジュゴンにぶつからないように沖合10キロ以上遠くを通っています』というが、10キロというのは科学的根拠は全く皆無。個体Bの移動ルートとあわせて考えると衝突する可能性や、衝突まではいかなくても土砂運搬船を避けようと思ってどこかにいった可能性もある。(ジュゴンは)音に敏感なのでいろんな要因が考えられる」(安部真理子主任)

   沖縄防衛局などの調査によると、個体Bは1月8日に古宇利島沖で確認されている。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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