高校野球のピッチャーの故障を防ぐため、県大会で球数制限の導入を表明していた新潟県高校野球連盟が、日本高野連からの再考要請をうけ、実施見送りを発表した。
制限導入の必要性をめぐっては、これまでにプロ野球現役選手も巻き込んで議論となっていた。今回の措置を受け、テレビのコメンテーターらが日本高野連の方針に疑問を示す一方、ネット上では賛否の声が挙がっていた。
「実験的にどこかがやってみて...」
新潟県高野連は2019年3月18日、春の県大会(4月後半開幕)で導入するとしていた、1試合あたり1人の投球数について「100球を超えたイニングまで」とする制限の実施を見送ると発表した。18年12月に制限導入を表明したが、日本高野連が19年2月の理事会で、「勝敗に影響を及ぼす規則は、全国で足並みをそろえて検討すべきだ」として再考を求めていた。
4月からは日本高野連が「投手の障害予防に関する有識者会議」を発足させることになっており、新潟県高野連は会議に参画したうえで、導入の必要性を訴えていくとしている。
今回の発表の翌日(3月19日)、情報番組の「ひるおび!」(TBS系)はこの問題を取り上げた。コメンテーターの落語家、立川志らくさんは「逆でしょ」と指摘し、本来なら日本高野連の方が導入への音頭を取るべきだとの考えを示した。球数制限は人数が少ないチームに不利になるとの議論がある点にも触れつつ、だからといって投手が肩を傷めていい、ということにはならない、と断じて、日本高野連の姿勢について、
「おかしいですよ」
と批判した。弁護士の八代英輝さんも
「STOPかけることない。実験的にどこかがやってみて、見直すべき点も見つかるかもしれない」
として、
「全国一律じゃないと困る、というのはちょっと古いと思います」
と感想を述べた。
「選手層が厚いチームはいいけど」論も
また、ツイッターには賛否の声が寄せられている。球数制限導入に賛成の人からは、
「高校野球で球数制限ある方がいいやろ。(略)デメリットなんて何もない」
「球数制限した方が良いと思うけどな。投手が一人だと勝てないって言い訳は怖いぞ。その一人の選手生命かける試合なのか?」
といった意見が出ていた。一方で、
「選手層が厚いチームはいいけど、選手が少ないチームはどうすんの?(略)勝ち目なくね?」
「野球は高校までって人も多いから、最後の夏をいかに悔いなくサポートしてあげれるかが、高野連の本当の仕事だと思う」
との反対意見もあった。
球数制限問題をめぐっては、プロ野球DeNAの筒香嘉智外野手も言及していた。1月、都内の日本外国特派員協会で会見を開き、野球に取り組む青少年の育成問題に関連して、高校野球での球数制限導入の必要性を訴えていた。
アメリカのMLBなどがまとめた、青少年ピッチャーを対象としたガイドライン「ピッチスマート」(2014年)では、たとえば「17~18歳」の場合、1日の最大級数は「105球」となっている。この他、投球数に応じて次回登板までに何日間を空けるべきか、といった点にも触れている。
日本高野連では、「投手の障害予防に関する有識者会議」で概ね1年間、球数制限を含めて議論を行う見通し。