ユーチューブにチャンネルを開設するなどして「ソフト路線」の宣伝攻勢を進める過激派の「中核派」が、さらにその動きを加速させている。
機関紙「前進」の内容を紹介する「前進チャンネル」に加えて、ニュース番組の体裁で中核派の主張や動向を伝えるチャンネルを開設。中核派系全学連の活動家がキャスターやリポーターとして、公安警察が活動拠点を捜索する様子を「実況」するなどして、警察を非難する内容だ。
「ほら邪魔だ、オラァ」「ガサ中だから下がって」
伝統的に反米を掲げる中核派だが、新しいチャンネルの名前は「Zenshin News Network(ZNN)」。2019年3月8日に公開された動画では、この日行われた中核派の拠点「前進社」(江戸川区)に対する捜索の様子を特集した。動画では、前・全学連委員長が「キャスター」、現委員長が「特派員」として登場している。
「前進社」前からリポートする「特派員」に対して、私服警察官が「ほら邪魔だ、オラァ」「ガサ中だから下がって」などと静止しようとするが、「ここ、公道じゃないですか?公道ですよ?」などと抵抗。警察官の発言は、警察官の名前付きでテロップとして映し出された。
画面には、腕章をつけ、その多くがマスクで顔を覆った30人程度の男性の集団が映し出され、「特派員」は「見てください、大量の刑事が並んでいます」。捜索中には
「とんでもないでっち上げによる不当な家宅捜索」
などと主張し、捜索終了後は警察官に「どうでした?前進チャンネル出れますよ?」とマイクを向けたが、警察官は沈黙したまま現場を去った。
今回の捜索は、実際には住んでいない住所を申告して運転免許証を取得したとして、3月5日に広島県警が全学連の活動家を免状不実記載の容疑で逮捕したことにともなうもの。この活動家は3月15日に不起訴処分になっている。
現役東大生が中核派活動家になるのは40年ぶり
動画の最後で、「キャスター」は
「家宅捜索では、『前進』など機関紙が押収されており、明らかに不当な政治弾圧です。これが、免状不実記載の証拠だと言えるのでしょうか」
と主張した。
公安調査庁が19年1月に公表した「内外情勢の回顧と展望」では、「反改憲運動や学生運動などに取り組んだ中核派」の見出しで、「学生運動では、全国の主要大学で新入生勧誘活動に取り組んだ」などとして、東大で集会を開催したり、東大の学生が委員長に就任したりしたことを紹介している。約4700人の構成員がいるとみられている。
現役東大生が中核派の活動家になるのは約40年ぶり。構成員の高齢化が進む中、新たな委員長を前面に押し出すことで、若手構成員獲得に向けてアピールを強める狙いがあるとみられる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)