シェア自転車、海外では風前の灯火? 最大手「モバイク」、シンガポールから撤退

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   シェア自転車最大手のモバイク(Mobike)が苦境を迎えている。モバイクは全世界の200都市以上でサービスを展開しているが、創業の地の中国に「退却」しつつある、というのだ。シェア自転車は都市交通の「ラスト・ワンマイル(=1.6キロ)」を埋める手段として脚光を浴び、2016年頃から急速に普及したが、17年後半から過当競争が表面化。大手以外は倒産が相次いでいた。

   そんな中で、モバイクがシンガポールで事業撤退を申請したことが明らかになった。都市としてはコンパクトなシンガポールはシェア自転車の展開に向いているとみられていたが、この撤退劇の背景には何があるのか。

  • モバイクはシンガポール中心部の観光地をめぐるには便利な手段だった(2018年5月撮影)
    モバイクはシンガポール中心部の観光地をめぐるには便利な手段だった(2018年5月撮影)
  • マーライオン公園にモバイクの自転車で乗り入れる観光客も多い
    マーライオン公園にモバイクの自転車で乗り入れる観光客も多い
  • 歩道に無造作に放置される自転車も多かった(2018年5月撮影)
    歩道に無造作に放置される自転車も多かった(2018年5月撮影)
  • モバイクはシンガポール中心部の観光地をめぐるには便利な手段だった(2018年5月撮影)
  • マーライオン公園にモバイクの自転車で乗り入れる観光客も多い
  • 歩道に無造作に放置される自転車も多かった(2018年5月撮影)

大手撤退はこれで3社目

   シンガポールの地元紙、ストレーツ・タイムズが19年3月12日に報じたところによると、モバイクは3月11日に陸上交通庁(LTA)に対して、東南アジア地域での合理化の一環として「管理され、混乱のない形での」事業撤退を申請した。撤退の具体的な時期は現時点では不明だ。シンガポールから大手シェア自転車が撤退するのは、オフォ(ofo)、オーバイク(oBike)に次いで3社目。

   この背景にあるとみられるのが、安定的なビジネスモデルを確立できなかったことだ。シンガポールのテレビ局、チャンネル・ニュース・アジアによると、モバイクを含むシェア自転車事業者が17年10月にLTAなどと結んだ覚書きによると、違法駐輪された自転車は半日以内、故障した自転車は1日以内に移動することを定めている。これに加えて、破壊されたり、持ち去られたりした自転車の対応にもコストがかさんだ。

日本では福岡市や奈良市で展開

   なお、ニュースサイトのテッククランチが3月9日に報じたところによると、モバイクは3月8日(米国時間)、アジア太平洋の業務チームを一時解雇し、シンガポール、マレーシア、タイ、インド、オーストラリアの正社員15人以上と多数の契約社員、外部スタッフが影響を受けたという。同サイトでは、

「アジア太平洋地域は非・中国事業の大半を占めており、今回の一時解雇は、最終的に国際的な拠点を閉鎖するためにカギとなるステップだ」

などと指摘している。

   モバイクは17年に日本市場に参入し、LINEも出資している。その際には、「指定の駐輪場を提供する地元事業者と注意深く協力し、最初に地元当局に許可を得た」(前出のチャンネル・ニュース・アジア)として、違法駐輪を減らすことに注意を払った。現時点でも福岡市や奈良市でモバイクの自転車を利用することはできるが、日本でのソーシャルメディアの更新は18年5月を最後に途絶えている。

   中国発のシェア自転車をめぐっては、オフォが18年春に北九州市などでサービスを始めたが、わずか半年程度で撤退を余儀なくされている。福岡市では「メルチャリ」という競合も登場しており、モバイクの日本市場での「本気度」が問われることになりそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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