シェア自転車最大手のモバイク(Mobike)が苦境を迎えている。モバイクは全世界の200都市以上でサービスを展開しているが、創業の地の中国に「退却」しつつある、というのだ。シェア自転車は都市交通の「ラスト・ワンマイル(=1.6キロ)」を埋める手段として脚光を浴び、2016年頃から急速に普及したが、17年後半から過当競争が表面化。大手以外は倒産が相次いでいた。
そんな中で、モバイクがシンガポールで事業撤退を申請したことが明らかになった。都市としてはコンパクトなシンガポールはシェア自転車の展開に向いているとみられていたが、この撤退劇の背景には何があるのか。
大手撤退はこれで3社目
シンガポールの地元紙、ストレーツ・タイムズが19年3月12日に報じたところによると、モバイクは3月11日に陸上交通庁(LTA)に対して、東南アジア地域での合理化の一環として「管理され、混乱のない形での」事業撤退を申請した。撤退の具体的な時期は現時点では不明だ。シンガポールから大手シェア自転車が撤退するのは、オフォ(ofo)、オーバイク(oBike)に次いで3社目。
この背景にあるとみられるのが、安定的なビジネスモデルを確立できなかったことだ。シンガポールのテレビ局、チャンネル・ニュース・アジアによると、モバイクを含むシェア自転車事業者が17年10月にLTAなどと結んだ覚書きによると、違法駐輪された自転車は半日以内、故障した自転車は1日以内に移動することを定めている。これに加えて、破壊されたり、持ち去られたりした自転車の対応にもコストがかさんだ。