公正取引委員会が、米国のAmazon.com(アマゾン・コム)やアップルなど「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の取引実態を解明する本格的な調査に乗り出した。寡占化した市場で影響力を行使して、取引先が不当な取引を強いられるといった、独占禁止法に違反する取引がないかを調べる。
特に、アマゾンジャパン(東京)が5月から始める新たなポイント還元サービスが出品事業者に負担を強いるとの見方が出ていることにも、メスを入れるとみられる。
出店料などについて実態調査へ
プラットフォーマーとは、インターネット検索やネット通販など、主にネット上のサービスを企業や個人が利用する際の基盤(プラットフォーム)を提供するIT大手のこと。これまで日本ではあまり規制の対象とはみられていなかったが、検索サービスやネット通販の普及に伴い、個人の検索や買い物の履歴などのデータが集まっている。こうしたデータが蓄積されるほどサービスの利便性が高まり、コストダウンも進み、一部の巨大企業による市場の独占・寡占が加速すると指摘されている。
今回の調査は、ネット通販やスマートフォン(スマホ)向けアプリの業界を対象にしたアンケート。
具体的には、まず、アマゾンなどネット通販サイトへの出店者。アマゾンだけでなく楽天やヤフー・ジャパンの日本勢への出店者も含む。出店料や利用料、利用規約などに関して実態を聞き、不当な契約を求められたり、不当な審査を受けたりしていないかなどを解明しようというもの。
米アップルや米グーグルなどが運営するアプリストアにアプリを提供している業者も対象。アプリ販売は、アップルの「App Store」とグーグルの「Google Play」の2社寡占状態。アプリ開発者側から「販売手数料が高い」といった不満の声が出ており、これについても実態明らかにしようとするものだ。