2018年9月に亡くなった女優の樹木希林さんの著書『一切なりゆき』(文藝春秋)が快進撃を続けている。発売3か月足らずですでに87万部となり、ミリオンの大台が目前に迫っている。この勢いが続くと、19年のベストセラーランキングで年間トップとなりそうだ。
2月に発売されたばかりの樹木さんの『120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』(宝島社)も好調な滑り出し。出版界は時ならぬ「樹木さんブーム」の様相となっている。
週間ランキングでは1位・2位ともに樹木さん本
樹木さんは 13年に全身のがんであると告白。闘病のかたわら、女優としての活動を続けたが、18年8月に左大腿(だいたい)骨を骨折して入院、9月15日に75歳で亡くなった。直後には、闘病中も交流のあった人たちや若者らに直筆の手紙を真剣にやりとりしていたことがNHKクローズアップ現代+(2018年9月25日放送「秘話 樹木希林さん 直筆の手紙」)で紹介され、10月には出演していた映画「日日是好日」が公開、大ヒットになった。
著書『一切なりゆき』は12月末の発売。映画、テレビ作品のほか、雑誌の対談やインタビューに残されていた樹木さんのことばを突貫作業でまとめたものだ。飾らない人柄で多くの人に愛された樹木さんを改めて偲ぶことができる。「不思議な夫婦愛」で話題になった夫、内田裕也さんとのことについても語られている。
トーハン調べによると、本書は19年に入って1月、2月と連続で月間とベストセラー(総合)のトップを独走している。出版元の文藝春秋では近日中に100万部を突破すると言っている。出版界では昨年は新規のミリオンセラーがなかったので、久々の大台入りとなる。
2月に発売された『120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』も早々と同月3位と絶好調。3月12日現在のトーハン週間ベストセラーランキングでは、トップが『一切なりゆき』、2位が『120の遺言』と樹木さんの本が最上位を独占する異例の状態となっている。
3月1日に発表された第42回日本アカデミー賞で、樹木さんは、『万引き家族』で最優秀助演女優賞、『日日是好日』で優秀助演女優賞を受賞しており、著書の売れ行きにさらに弾みがつきそうだ。