トヨタだけで英国自動車の1割弱
「ホンダ・ショック」冷めやらぬうち、今度はトヨタ自動車からも弾が飛び出した。トヨタの欧州統括会社「トヨタモーターヨーロッパ」のヨハン・ファン・ゼイル社長が3月6日、「合意なき離脱」となった場合、将来的に英国生産から撤退する可能性もあるとの見解を表明した。
トヨタは英国中部のバーナストンに完成車工場、同ディーサイドにエンジン工場を構え、両工場の雇用は計約3200人に達する。バーナストン工場で2018年に12.9万台を生産し、英国の自動車産業全体の1割弱を占める。2019年1月に欧州で発売した「カローラ(旧オーリス)」の新モデルの生産を始めたばかりだ。
トヨタの英国工場は部品の5割程度を、英国を除くEU加盟国から調達し、完成車の9割をEU加盟国に輸出している。EU域内の関税はゼロだが、ブレグジットで世界貿易機関(WTO)が定める10%になれば収益は大幅に悪化する。今後の英・EUの離脱交渉、関税交渉を見極めながら、次期モデルへの切り替え時期となる2023年に向けて判断していくことになるとみられる。
2社より先、日産自動車も2月3日、中部サンダーランドの工場でスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」の次期モデルを生産する計画を撤回し、日産自動車九州(福岡県苅田町)で生産すると発表している。
海外勢も、英国にエンジンの2工場を持つ米フォード・モーターが同12日のメイ英首相との電話会談で、EU離脱後の状況次第で、英国の生産拠点を海外に移す可能性を伝えた。独BMWも、小型車「ミニ」の生産を4月に約1カ月間休む方針に加え、生産を英国外に移す検討もしていると英メディアが報じている。