「実際は皆が皆くしゃみを出すわけではありません」
アヒルのおもちゃだけではない。くしゃみの原因と思しきものには「1つ1つ当たって調べています」という。
「お客様から『消毒の塩素濃度が高すぎるのではないか』と指摘されたこともありましたが、厚生労働省の定めた残留塩素の基準を守って運営していますから、この指摘も当たりません。また、空気を分析する専門機関に依頼してカビ菌が飛んでいるかどうかなどを調べてもらったこともありましたが、原因となり得る菌は飛んでいないという結果でした。花粉症の症状である可能性についても、浴場内のように湿度の高いところでは花粉は飛ばないということでした」(同)
原因の有力な候補として、上記張り紙でも一言触れている「バイブラジェット」が関係しているのではないかと思われるようになった。
「浴槽の底や壁面から気泡が噴き出すようになっていますが、これを作動させている時にくしゃみが出るという報告が多く、逆に止めている時は報告が減りました。気泡がはじけて空気中に飛散することで、源泉の何らかの成分を吸い込み、くしゃみが出るのではないかと考えています」(同)
執念とも言える調査。一体なぜここまで徹底するのか。担当者は言う。
「ネットで『あの温泉ではくしゃみが出る』という噂が広まると、多くの方が信じます。しかし、実際は皆が皆くしゃみを出すわけではありません。ネットの書き込みは誇張されている場合もあり、さらに尾ひれがついて話が大きくなると、風評被害にもつながりかねません。くしゃみが出るという報告があること自体は事実ですから、お客様にご納得いただけるよう原因解明に向けて取り組んでいます」
今後も随時調査を行い、今回のアヒルのおもちゃの張り紙と同じような形で結果を公表していく予定という。