あまちゃん「後編」中止への疑問 「リアス線開通」で再放送なのに「意味ないじゃないの!!」

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   のん(本名:能年玲奈)さん(25)が主演した、2013年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」。その総集編が19年3月、BSプレミアムで2日に分けて放送予定だったが、後編については中止になったと14日までに発表された。

   「あまちゃん」は、岩手県北三陸市(架空の自治体)で海女を目指す「故郷編」と、芸能界の荒波にもまれながらアイドルを目指す「東京編」で構成されている。そのうち東京編には、麻薬取締法違反で逮捕されたピエール瀧容疑者(51)が出演している。

  • 番組公式サイトには「後編の放送予定はありません。ご了承ください」の一文が
    番組公式サイトには「後編の放送予定はありません。ご了承ください」の一文が
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寿司職人役として出演

   ピエール瀧容疑者は、「無頼鮨」の大将・梅頭役で登場。登場人物の行きつけの店だったり、主人公の彼氏が板前修行していたりなど、店内を舞台にしたシーンも多く、基本的に無口ながら、作品にアクセントを与える存在だった。

   NHK公式サイトによると、総集編は前編が13年7月14日、後編は10月14日に総合テレビで流れたもので、今回は再放送となる。前編は19年3月17日、後編は24日に放送予定だったが、前編のみが編成されることになった。

   このタイミングでの放送には、「三陸鉄道リアス線」開通記念の意味合いが込められている。三陸鉄道は北リアス線(宮古‐久慈)と、南リアス線(盛‐釜石)で構成されているが、そのうち北リアス線は「北三陸鉄道リアス線」の名で、劇中にたびたび登場。北三陸と東京をつなぐ重要な役割を果たした。

   南北リアス線をつなぐ、宮古‐釜石間にはJR山田線がある。東日本大震災以降は運休していたが、同区間が19年3月23日に開通。あわせてJRから三陸鉄道に移管され、久慈から盛まで163キロの「リアス線」として、新たなスタートを切る予定だ。

大友良英も「一個人の問題より優先すべきことがあるのでは」

   復興の象徴となる「リアス線開通」。それに合わせた総集編放送とあって、震災とそれ以降を描写した後半部分の休止には、ツイッターで残念がる声が多い。

「後編なきゃ意味ないじゃないの!!!!!!!!」
「北三陸鉄道の震災から立ち上がる姿は放映して欲しかったなぁ」
「三陸鉄道リアス線の開通記念なんだから震災からの復旧を描いた後編もやらなきゃ意味がないような...」

   「あまちゃん」の劇中音楽を担当し、ピエール瀧容疑者が出演中の大河ドラマ「いだてん」の劇伴も務める大友良英さんも14日、

「今回は三陸鉄道リアス線開通を祝しての再放送で、後編にこそ震災と向き合う北三陸の人たちが描かれています。震災後のあの時期、この番組が東北の人々の力に少なからずなったことを考えると、一個人の問題より優先すべきことがあるのではと私は思います」

とツイートしている。

   あまちゃんについては、動画配信サービス「NHKオンデマンド」でも、すでに販売が停止されている。また各社報道によると、DVDを販売するNHKエンタープライズが14日時点で、「関係者と対応を協議中」としている。

CS局でも番組差し替え

   あまちゃん総集編は、CS放送局「ファミリー劇場」でも、たびたび放送されてきた。直近では逮捕前の3月9日に放送されたほか、4月13日に前編、20日に後編、30日に前後編が放送予定だったが、いずれも別番組に差し換えると3月13日に発表されている。

   ファンからは「代役を立てて」といった声もあるが、放送から時間が経った作品を、別のキャストで撮り直すのは現実的ではない。事実、同じ朝ドラの「まれ」(15年放送)は、主要出演者が放送後に、強姦致傷容疑で逮捕(後に不起訴処分)されたことなどで「お蔵入り」状態になっているが、代役は立てていない。

   とはいえ、ピエール瀧容疑者をめぐっては、映画「麻雀放浪記2020」(4月5日公開予定)のように、出演シーンをそのまま流すと決めたものもある。15日の朝日新聞コラム「天声人語」では、あまちゃんなどに触れながら、こう指摘していた。

「薬物の恐ろしさ、薬物犯罪の罪深さは、強調してもしすぎることはない。しかし逮捕されたことと、作品の魅力は、分けて考えるべきではないか。見続けたい作品かどうかを決めるのは視聴者である。NHKや映画会社ではない」
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