ピエール瀧容疑者(51)がコカインを使用したとして、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された事件。本人の出演作や番組をめぐり、メディア側は対応に追われている。
2019年2月の新井浩文被告の逮捕時には、NHKが出演10番組の新規販売を停止し、ネット上では「作品に罪はない」などと疑問視する声が続出。今回もメディア側の対応が問われそうだ。
メディア各社が対応に追われる中...
ピエール瀧容疑者の逮捕を受け、テレビ局は対応に追われた。静岡朝日テレビは「ピエール瀧のしょんないTV」(毎週木曜深夜)について、2019年3月13日午前、「事実関係を確認中」としたうえで、「同番組の放送は休止いたします」と発表した。同局編成部の担当者は13日、J-CASTニュース編集部の取材に対し、14日深夜(15日未明)の放送は休止だと明かした。今後の放送については「現在検討、協議中」という。
また、MCを務める「ゲンバビト」(毎週日曜深夜、CBCテレビ)については、CBC広報宣伝部の担当者が「今後の放送については引き続き協議する」。NHK広報部も大河ドラマ「いだてん」(毎週日曜夜)について、「対応を検討しています」。来月に公開を控える映画「麻雀放浪記2020」では、配給する東映の担当者が「対応を協議中」と、それぞれ取材に答えるにとどめた。
「すべての表現をやめるべきなのか」
人気俳優の逮捕を受け、メディアが対応に追われる中、ジャーナリストの江川紹子さんは13日午前、自身のツイッターで、
「またも過去の作品お蔵入り、収録済み映像も編集し直し消去、みたいなことをやるのか...。薬物自己使用とか被害者がいない事件で、そういう非生産的なことは、もうやめた方がいい」
と指摘。ほかにもネット上では、
「これを機に役者が逮捕されたくらいで作品お蔵入りさせる悪い文化やめようぜ」
「擁護するつもりもないし暴行や性犯罪のように傷つけられた人がいたら話は別だけど、罪を犯した人の過去作品までお蔵入りさせる必要あるのかな?」
「ピエール瀧出演作品のお蔵入り、被害者がいないんだからもういい加減にこんな事やめりゃあいいのに」
などと、作品の「お蔵入り」を危惧する声が相次いだ。
こうした現状などを識者はどうみているか。J-CASTニュース編集部では13日、メディア環境に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚さんに話を聞いた。
「SNS時代になり、犯罪者の演技などが目に見えるのを嫌う人が一定数いる。その考えを受け入れる必要はあると思うが、『すべての表現をやめるべきなのか』は議論しないといけない。テレビやラジオなど、誰でも無料で見られる状態にあるものを自粛するのは、ある程度仕方がないと思うが、名画座や単館系で上映される映画、ネット配信の映画まですべて停止するのは、ちょっとやりすぎじゃないか。議論を踏まえたうえで自粛しているのではなくて、配信しっぱなしにしておくと批判されるのが怖いから自粛している。議論しないで自粛するのは一番よくない」
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)