飼い主に常時口輪をされて虐待に遭っている犬がいる――。こんな投稿がSNS上で拡散されている。
投稿は議論を呼び、「かわいそう」「許せない」といった同情の声が上がる一方、愛犬家からは「うちのワンコもつけてる」「誤解してる人が結構多い」と理解を示す声も。口輪はどんな目的で装着するのか。販売元に聞いた。
「噛みついてしまう犬に必要」
投稿は2019年3月3日、動物保護活動をしているという人物がツイッターに寄せた。口輪をする犬を映した動画とともに、「虐待状態のワンコがいます」と報告。改善に向けて飼い主と交渉する予定だとした。ツイートはその後削除され、真相は不明となっている。
投稿は広く拡散されたため、ツイッターでは口輪が関心を集めた。知名度が高くないためか、口輪をする=虐待ととらえる向きもあった。
口輪を扱う大阪の会社によれば、口輪はマズルガードとも呼ばれ、拾い食い、噛みつき、傷舐めの防止や無駄吠えのしつけに使われる。散歩やドッグラン、トリミング・ペットサロンといった場面で役立つ。種類は装着時には開口ができないものと、水が飲めるほどには開けられるものがある。
「拾い食いで病院に通う犬は、獣医様が口輪を勧めることがあります。公共・共有スペース(マンションのエレベーターや、海外ではバスの乗車時など)では着用ルールを設けているケースもあります。またトリミング・ペットサロンでは、トリマーに噛みついてしまう犬に必要なアイテムです」(担当者)
使用には注意点も
口輪を販売する埼玉の会社にも取材すると、「ルアーコーシング」という擬似餌を追いかける犬の競技でもけが防止として使われるという。注意点を聞くと、「口があまり開かないタイプの口輪は犬の様子を見ながら短時間の利用に限ります。もちろん、口が大きく開くタイプのマズルガードも事故防止の為、必ず飼い主の目の届く範囲で利用してください」と答えた。
両社は口輪が虐待に使われたとの話は聞いたことがないとしたが、使用時には注意が必要だ。