マラソン人気を維持するためには...
日本の選考レースがなぜ一本化できないのか。この大きな要因となっているのがテレビ局との関係である。五輪代表の選考レースは、レースを放送するテレビ局と、その系列の新聞社が大会運営を行うケースがほとんどで、日本陸連は大会運営側からレースの公認料を受け取っている。大会運営のテレビ、新聞ともに視聴率が見込める選考レースだからこその投資で、選考の対象外となれば大会そのものの存在が危ぶまれる。
表向き選考レースの一本化を提言するメディアの中には、実際、選考レースが一本化された場合、大きな「損害」を被るメディアも存在することから実情は複雑だ。日本陸連にとって国内主要レースを生中継するテレビ局は、マラソン人気を維持するためには不可欠で、テレビ局にとっても高視聴率が期待できるマラソンは、ビッグコンテンツのひとつ。日本陸連と主要レースを放送するテレビ局との関係性は深く、これが選考レースを一本化できない大きな要因だろう。
今回の日本陸連の新たな選考方法について関係者の間で一定の評価がある一方で、選考レースの一本化を推す声もいまだ多くある。9月のMGCで代表に内定するのは男女それぞれ2人だけ。残り1枠は、MGCファイナルチャレンジの結果次第となり、来春には3人の五輪代表が決定する。