番組には「出ていない情報がたくさんある」
こういった番組の構成に対して、セミナーではFIJの事務局長を務める楊井(やない)人文氏が「違和感」を表明した。楊井氏によると、番組にも登場し、ネット上の書き込みの誤りを指摘した台湾のファクトチェック団体のメンバーは、
「フェイクニュースが台湾の外交官を奪った、そういうストーリーで描かれているが、台湾の外交官の死はフェイクニュースが原因ではない可能性が十分ある」
などと指摘したという。楊井氏は、その根拠として(1)外交官が亡くなる前から、ネット上の情報が誤りだという「カウンター情報」が出ていた(2)遺族が出した声明によると、外交官の遺書には「フェイクニュース」を苦にしていたという記述はなかった、といった事実を挙げながら、番組には「出ていない情報がたくさんある」とした。
セミナーには、SNSの拡散力について「リアルタイム性をゆるめる、スローにしてあげることが重要」などと番組でコメントしていた、名古屋大大学院講師の笹原和俊氏も登壇。笹原氏は、「(フェイクニュース拡散と自殺の)因果関係をこういう問題で示すのは、すごく難しい」としながら、番組担当者から「間接的であれ、フェイクニュースが外交官を追い詰めたという面は否定しきれない」といった説明を受けたとして「問題提起という意味では、それほど間違っていなかった」と述べた。