解雇に怒って抗議の動きも
日本の読者になじみが薄いだろうオンライン中古車販売会社「人人車(レンレンチャー)」のリストラは、解雇された従業員が各地の支店で賃金未払いなどに抗議する騒ぎになっている。従業員が一挙に4分の1の規模に減らされた成都(四川省)支店では、玄関に「金を返せ」などの張り紙が一斉に張られ、北京支店の従業員たちは本社に赴いて、「解雇についての説明」を集団で求めた。
こんな騒動がなぜ起こるのか。大きな市場のあまりの急拡大に、雇用をはじめとする経営手法がとても追いつかなかったからだ。
中国自動車流通協会の統計によると、2017年の中古車販売台数は1240万9000台に達し前年より19.4%増加。 ちなみに日本の数字は386万台、前年比2%増だった。「人人車」の経営者は巨大市場がさらに膨らむ潮目を読み、増員などの投資を急増させた。それは中国IT企業のふつうの行動だ。うまく嵌ればその企業は急成長する。けれど逆に、過当競争や景気の変化で利益がほとんど出ない事態も起こり、経営が悪化すると短絡的にリストラに走ることになってしまった。「人人車」の騒動は、若い企業がその経営の未成熟さをさらけ出した結果といえる。
こうした経営の問題点について、「大きく成長した中国のIT関連企業は、アリババ以外ほぼ同じ状況だ」と、「美団点評」創業者の王彗文氏自身、ある取材に対してコメントした。王氏は「美団も同じ状況」と率直に認めている。
米国から帰国して、IT企業の高級幹部として迎えられた私の知人もこう話してくれた。
「業界が市場の追い風の中にある時、個々の企業組織は往々にしてぼろぼろ。いつも強気でも問題ないからね。従業員の増員や賃上げ、上場。みんな、そんな強気の結果だよ」
吹き始めた経営の逆風を、若い経営者たちがどう乗り越えるか。企業組織として果たして成熟できるか。そこがいま最も注目すべきところだ。
(在北京ジャーナリスト 陳言)