「これからは世界の消費者に...」
だが、家具業界を取り巻く環境の変化は、ここ3~4年のことではない。実際、2015年2月に公表した中期経営計画ではすでに、ビジネスモデルの再構築が「最優先」だと明記。消費者の購買スタイルにあわせて、「単品買い需要」の呼び戻しと法人市場向けのビジネスの強化でさらなる成長を目指すと宣言していた。問題意識は持っていたのに、数字がついてこなかったのは、久美子社長自身の経営責任が大きいと言わざるを得ない。
しかし記者会見では、ここ数年で企業価値を大きく毀損したことに対する「反省の弁」はなかった。その代わり「スピードを上げて、早く会社をよくしていく責任が私にはある」と続投を表明した。
大塚家具は2018年末から2019年2月にかけて、中国で「イージーホーム」を展開する居然之家(北京市)、越境EC(電子商取引)を支援するハイラインズ(東京)と業務提携。計76億円の資本増強策もまとめた。久美子社長は「これからは世界の消費者に私たちの商品とサービスを提供していきたい」と、どこまでも前のめりだ。
勝久氏については「良い家具を提供していきたいという価値観は全く同じ」と、歩み寄る姿勢を示した。価値観が同じなら、もっと早く、協力して何か手を打てなかったのか。そうなっていれば、ここまで損失が膨らむことはなかったのかもしれない。