国内物流大手の一角を占める日立物流が、投資家の注目を集めている。足元の業績が堅調なことに加え、佐川急便を傘下に置くSGホールディングス(HD)との経営統合協議の進展への期待感から投資家の買いが集まっている形だ。
耳慣れない会社かも知れないので、まずはその沿革などを紹介しよう。
日立製作所の子会社としてスタートしたが...
社名に日立がつくのは当然、日立製作所のグループ企業であるからで、1950年に日立製作所の輸送業務を担う子会社として設立された。全国の日立製作所の事業所とグループ内外の取引先を結ぶ役目を果たすなかで、ただ荷物を運ぶだけでなく倉庫保管や工場内作業のようなことを含めた企業の物流を一括して受注する「サード・パーティー・ロジティクス(3PL)」と呼ばれるビジネスモデルを確立。その実力から、日立グループ以外の荷主からの受注も数多く獲得してきた。
大きな転機は2016年3月30日だった。日立製作所、日立物流、SGホールディングス、佐川急便が東京都内で記者会見し、資本・業務提携するとともに日立物流と佐川急便の3年以内の経営統合を目指すと発表した。日立製作所が進める「選択と集中」と、法人物流を拡大したいSGHDの思惑が一致したのだった。提携によって日立グループが持つ約59%の日立物流株のうち、約29%を875億円でSGHDに売却。日立物流は佐川急便株約20%を663億円でSGHDから買い取る。相互出資によって「佐川急便・日立物流」は国内物流首位の日本通運に次ぐ2位グループに浮上。日立物流の現在の筆頭株主はなお29.95%を持つ日立製作所だが、28.94%のSGHDがわずかな差で続いており、日立物流は日立製作所の連結対象から外れている。