巨人・原辰徳監督(60)のメジャー流戦略にナインが翻弄されている。原監督が3月18日に行われるMLBマリナーズ戦で、「ブルペンデー」を導入することを明かした。メジャーで流行りの投手起用法を、シーズン中の有事に備えて試験的に導入するもの。
今キャンプから取り組んでいる「2番最強打線」に次ぐ新たなメジャー流戦略に、巨人ナインからため息が漏れている。
メジャー流行りの「ブルペンデー」とは
原監督が披露した「ブルペンデー」は、「オープナー」と並んで最近メジャーで流行りつつある投手起用法のひとつ。「ブルペンデー」とは、救援投手だけの継投で試合に臨むもので、中継ぎ、抑え投手を1、2回程度のイニングで小刻みに継投していくもの。一方の「オープナー」とは、立ち上がりの失点を抑えることを目的とし、抑え投手を先発に起用。上位打線を抑えたところに2番手として本来の先発投手を送り込む。
これらの投手起用法は、先発、中継ぎ、抑えの分業制が確立され、球数に関してもきっちり制限、管理されているメジャーゆえに成立するもので、日本球界では見ることのない投手起用法だ。シーズンに入れば、ローテーションの谷間や、先発投手のアクシデントなどによる緊急事態が想定され、これらの対応策のひとつとして原監督は「ブルペンデー」の導入を決めたという。
WBC代表監督の経験を持つ原監督はメジャー志向が強いといわれ、今キャンプでもメジャー流の打線を組んできた。近年、メジャーでは2番に長距離ヒッターを置く攻撃科型打線が主流になりつつある。原監督はこれを導入し、広島で3番を打っていた昨年セ・リーグMVPの丸佳浩外野手(29)を2番に固定。第3次原政権の目玉として、2番丸、3番坂本勇人(30)、4番岡本和真(22)のメジャー流強力打線を組んできた。
さっそくの「ブレ」にナインからはため息も
今キャンプでは一貫してこのオーダーで臨んできたが、ここにきて原監督にブレが生じ始めている。原監督は、雨天中止となった6日の広島とのオープン戦で、これまで2番に固定していた丸を3番に、3番の坂本を1番で起用する予定だったことを公言。わずか1得点のみに終わった5日の広島戦を受けての措置と見られるが、原監督のブレに巨人ナインからはため息がもれているという。
そして今度は投手陣の起用法もメジャー流が試されることに。「ブルペンデー」、「オープナー」ともに中継ぎ、抑え投手陣にかかる負担は大きく、シーズン中に本格的に導入されれば、中継ぎ、抑えの駒不足にあえぐ巨人投手陣の崩壊につながりかねない。原監督肝いりの岩隈久志投手(37)は調整不足から実践のマウンドは早くて5月からと言われており、投手陣の不安を煽っている。
今シーズンは4月から5月の大型連休に合わせる形で4月27日から10連戦が予定される。先発陣の調子が上がらず、ローテーションに不安を残す状況の中、原監督が指摘する「有事」は、この10連戦で起こる可能性も。新たな戦略を模索し続ける原巨人。シリーズ開幕はもうそこまで迫っている。