新規株式公開(IPO)に向けた準備に着手した、2018年6月に東芝から独立した半導体メーカー「東芝メモリ」。今秋にも東京証券取引所への上場を目指し、資本構成の見直しを図ると伝えられていたのだが、ここにきて業績が急激に落ち込み、2019年1~3月期に本業のもうけを示す連結営業損益が170億円前後の赤字になる見通しという。
早期の株式上場は成長戦略の柱だけに、関係者も気が気でないようだ。
出資報道が相次いだ直後に...
東芝メモリはデータの保存に使うNAND型フラッシュメモリーで韓国サムスン電子に次ぐ世界2位。業績にブレーキがかかった主因は、このフラッシュメモリーの値崩れだ。2018年10~12月期の出荷価格は7~9月期の4分の3程度に落ち、2019年1~3月も値下がりが続いているようだ。米中摩擦の激化で世界経済の先行きに不透明感が広がり、特に中国でのスマホの出荷台数が落ち込み、投資が手控えられていることが響いているという。
業績急落は日経と朝日がそろって2月28日朝刊で報じたが、ちょうど1週間前の21日、日経夕刊が「東芝メモリに最大3000億円 政投銀が出資検討」と報じ、他紙も22日朝刊で一斉に追いかけたばかり。この出資の話はIPOに向けての準備の一環と位置付けられ、業績の急落が、IPOにどう影響するか、いやがうえにも関心を集める結果になっている。
IPOに向けたスキームは次のようなものだ。
そもそもは、東芝が不正会計で経営危機に陥る中、2016年に米原発事業の1兆円超の巨額損失が新たに発覚し、上場廃止となる2期連続の債務超過の可能性が出た。このため、稼ぎ頭だった東芝メモリを2017年4月に分社化、2018年6月に、米ファンド「ベインキャピタル」などを中心とする「日米韓連合」に約2兆円で売却された。