巨人・山口俊投手(31)がまたも広島・会沢翼捕手(30)の一打に泣いた。
巨人は2019年3月5日、マツダスタジアムで広島と対戦。先発のマウンドに上がった山口は、3回1死一塁から会沢に先制の2ランを許し、これが決勝点となりチームは1-4で敗れた。開幕シリーズ前哨戦で因縁の相手にまたしてもやられ、関係者の間では早くも山口の開幕シリーズ登板回避の声が上がっている。
6年前はグランドに救急車、昨年は大乱闘寸前の騒動に
山口と会沢の死球を巡る「因縁」は7年前にさかのぼる。2012年8月2日、当時、DeNAに所属していた山口は、対広島戦で会沢と対戦。9回1死一、二塁から代打で登場した会沢に対して148キロの直球を投げ込み、これが会沢の顔面を直撃した。ヘルメットの一部が割れるほどの衝撃で、会沢は顔面血だらけに。グランドに救急車が入る緊急事態となり、会沢はそのまま病院に直行。診断の結果、鼻骨骨折と幸い大事には至らなかったが、会沢の野球人生を脅かしかねないほどの事件だった。
山口が巨人に移籍してからも死球を巡る「因縁」は続く。2018年5月1日の広島戦で、山口は会沢に対して2打席連続の死球を与え、これに広島ナインが激高。2打席目の死球直後に両軍はベンチから飛び出し、乱闘寸前までヒートアップする事態に。注目された会沢の第3打席は、会沢が山口から左翼線へ適時二塁打を放ち貴重な追加点をあげ、きっちり「けじめ」をつけてチームを勝利に導いた。
過去の死球が影響してか、この日の山口は会沢に対してインコースを攻めきれなかった。本塁打を許した3回のシーンを振り返ると、まず1球目に外角高めの直球でストライクを取り、2球、3球目に続けて低めのフォークを外した。そして真ん中高めに浮いた4球目の直球を左翼席最前列に運ばれた。山口の精神的な弱さを指摘する声がある一方で、小林誠司捕手(29)のリードを問題視する声も。
昨年5月1日の広島戦での山口と小林はバッテリーを組み、会沢にしてやられている。野球関係者は山口のみならず、小林も会沢に対して「恐怖心」を抱いているのではと疑問の声をあげる。本塁打を許した打席では、一度も内角を攻めることなく、2球連続フォークの後に安易に高めの直球で勝負。ただでさえ過去に遺恨のある相手に委縮気味の山口をリードしきれなかった小林にも批判が向けられ、正捕手争いに影を落としそうだ。
関係者「今日の試合は開幕戦を意識したメンバー」
この日の巨人のオーダーは、3月29日の広島との開幕戦を意識したフルメンバーで臨んだ。開幕戦は菅野智之投手(29)の先発がほぼ確定しているが、ローテーションの2番、3番手と目される山口は、2戦、3戦目の先発が濃厚だ。ただこの日の会沢への対応のまずさから関係者の間からは開幕シリーズの登板回避の声が上がっている。
「今日の試合は完全に開幕戦を意識したメンバーです。広島は若手の起用もあったが、巨人は8番指名打者の中島を除けば開幕スタメンで揃えた。山口は一発に泣いたが、打たれた相手が悪すぎる。山口は会沢に対して腕が振り切れていない。原監督も山口を広島戦で投げさせたがらないでしょう。チームが負うリスクが高すぎますから」(関係者)
この日は不安視された広島ファンからの丸佳浩外野手(29)へのブーイングはほとんど見られず、友好的なムードの中でゲームが進んだが、巨人にとって頭の痛くなる新たな問題が発覚。投手の死球を巡っては「イップス」を発症する選手もおり、当該投手にとっては投手生命にもかかわる大きな問題でもある。ローテーションの一角を担う山口だけに、今シーズンの巨人に与える影響は決して小さくはないだろう。