「問題。トマトは野菜だが、フルーツトマトはフルーツである。○か×か」――この「クイズ」に、あなたはどう答えるだろうか。
これは2019年3月3日、「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日系)の中で出された問題だ。番組の中では「正解」は結局示されなかったのだが、実際にはどちらが正しいのだろうか。放送をきっかけに、SNS上で論争が勃発している。
いったいどっちが正しいの?
3日の「ジオウ」は、新たに登場した謎の強敵に対し、仮面ライダーたちが立ち向かう展開に。その中でライダーの一人、仮面ライダーウォズは、複数ある変身形態の一つ「フューチャーリングクイズ」となって戦った。
その必殺技は、相手にクイズを出し、正解できなければダメージを与えるというものだ。うまく敵の動きを封じることに成功したウォズは、自信満々に「クイズ」を出題するが、それが冒頭の「フルーツトマトは、フルーツ(果物)か、それとも野菜か」。決まった――かに思えたが、技は不発に。逆に敵の反撃を食らってしまう。倒れたウォズは、こううめく。
「しまった。○でも×でもない、永遠に論争が続く問題を出してしまった......!」
思わぬ失態に、視聴者は戦いの展開もさることながら、「結局、フルーツトマトは野菜なのか?果物なのか?」という「永遠に論争が続く問題」にくぎ付けに。
「結局どっちなんだよ!!!!!!」
「野菜に決まってるだろ」
「本編も当然気になるんだけどフルーツトマトが頭から離れない」
ツイッターで多くつぶやかれた言葉を集計するYahoo!リアルタイム検索でも、一時関連するキーワードが上位にランクインした。いったい、実際のところはどちらなのだろうか。
アメリカでは「トマトは果物か」裁判が
はっきり言うと、答えは「どちらともいえる」だ。農林水産省の公式サイトでは、「野菜と果物(果実)の分類については、はっきりした定義はありません」とのっけから断言している。
そのうえで、生産分野では、
(1)田畑に栽培されること(栽培されていない山菜などは野菜と区別することが多い)
(2)副食物であること
(3)加工を前提としないこと(こんにゃくのような加工を前提とするものは野菜としていない。漬物のように原料形質がはっきり残っているものや家庭における簡易加工は加工に含まない)
(4)草本性であること
を野菜の定義としている。果物の区別にしぼって言えば、要するに「木か草か」。この理屈で言えば、確かにトマト、そしてフルーツトマトは野菜になるだろう。しかし、するといちごやメロン、スイカといった、一般には「果物」と扱われるものも「野菜」になってしまう。これらは、「果実的な利用をすることから果実的野菜として扱っています」というが......。
そもそもこれは農水省での基準であり、ほかにも複数の線引きが存在する。
米国では、トマトは野菜か果物か裁判にもなった。関税をめぐり、両者の扱いが異なったことから、輸入業者が「トマトは果物だ!」と訴えたものだ。結局、1893年に連邦最高裁が「トマトは野菜」と判決を下している。理由の一つとして挙げられたのが、「一般のフルーツのようにデザートとして(食べられるもの)ではない」(日経プラスワン、2007年6月30日)。
松本人志の基準に従えば...
だが最近のフルーツトマトは、その名の通りフルーツにひけをとらない甘さのものあり、スイーツにも利用されるほどだ。北海道庁のオホーツク総合振興局東部耕地出張所のページでも、フルーツトマトは上記のいちごなどと同じ「果物的野菜」との見方を示している。
結局のところ、フルーツトマト、トマトが野菜か果物か、という問いは、分類の目的や地域によって異なってくる。「ジオウ」でも触れられた通り、「永遠に続く論争」なのである。
なお、ダウンタウンの松本人志さんは「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」で2018年11月、「マヨネーズでいけるか、いかれへんか」を基準にする考えを示した。この基準ではフルーツトマトは、一応野菜ということになる。