中国人気俳優の論文盗用 「博士号」絡む不正に厳しい目

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

先生と教え子 官僚との蜜月

   中国の博士号取得者の数はいまやアメリカを追い越してしまったとされる。そして、その半分以上は政府機関に入り、官僚になっている。栄達をめざす者にとって、「博士」はどうしても欲しい肩書であるようだ。ただ、その「質」には、かねて厳しい目が向けられていた。

   中国の国営通信社である新華社傘下の「瞭望シンクタンク」がこの何年かの間に懲戒処分された政府高官の学歴を調べたところ、処分された142人のうち博士号を取得した者が48人、修士が66人だったという。さらに詳しく調べていくと、彼らの学歴は、「取得するまでの期間が短い」、「多分野にまたがって研究しているケースが多い」、「有名校が多い」、「疑わしいところが多い」という、「四多」の特徴があった。

   なぜ北京大学などの国立大学は、政府の高官や俳優に博士号を授与するのか。その高官が処分されたなら、大学のイメージが傷つけられるのではないかと思われるかもしれない。だが、実際はどんな大きなスキャンダルが起こっても、大学のイメージが傷つけられることはなく、大学側もそれに何ら答える必要もないのだ。

   やはり新華社傘下の雑誌「半月刊」がかつてこんな実態をスクープしたことがある。ある大学で、博士課程で学ぶ官僚二人を指導していた教授がおり、その教授の息子は政府の重要な機関に入った。そして教授夫妻は毎年、博士となった官僚たちが所管している風光明媚なリゾート地に招待され、この教授が新築マンションを購入した際には、二人の「学生」のうち一人が内装費用を負担、もう一人が家具と家電製品をプレゼントした――。

   順調に北京大学ポストドクターに収まっていた二枚目俳優、翟天臨のスキャンダルは、腐敗行為によって懲戒処分となった官僚のほとんどが高学歴の持ち主であることも、一般庶民に改めて思い起こさせた。博士やポストドクターの輝かしいイメージもひどく損なわれることになった。学術界のこうした暗部を正すことは、中国でいまや喫緊の問題になってきていると私は思う。

                         

(在北京ジャーナリスト 陳言)

1 2
姉妹サイト