中国の人気俳優、翟天臨(ディー・ティエン・リン)が2019年2月14日、北京大学の「ポストドクター」を辞した。一カ月に何本ものテレビドラマに出演するほどのイケメン俳優、翟。だが、他人の著作や論文を盗用して修士論文と博士論文を完成させたことが暴露され、世論の注目を大いに集めていた。盗用認定にあたっては、複数の論文の文章をチェックするソフトを駆使して、ネット民たちが大活躍した。
「お手本」だったのに......。
ドラマや映画に出演する際、翟はいつも正統派の二枚目、いい人役で登場していた。そして、俳優をやりながら学業もこなす正真正銘の「秀才」と、世間で認められていた。「とても良い」成績だったため、無試験で北京電影(映画)大学演技学部に入学し、そして「成績優秀」だったため、修士号と博士号を取得。日本では俳優の学歴はそこまで重視されないだろうが、中国では違う。俳優は演技の巧みさのほかに、人並み以上の学識が求められる。翟はまさにその「お手本」。彼は博士号を習得しただけではなく、首尾よく北京大学のポストドクターになっていた。
日本でポストドクターといえば、博士号を取った人が、就職先や研究者としての正式な身分を得る前に研究を続ける、どちらかといえば地味なイメージかもしれない。しかし中国のポストドクターはとても名誉あるポストだ。本人が重要なポジションに就くまで保持できる「ステータス」である。
論文盗用によって修士号、博士号を取得したことが暴露された?は、「秀才」の輝かしいイメージもすべて失ってしまった。なぜ彼をポストドクターとして受け入れたのか、北京大学側はいまのところ説明していない。