勝負は値上げ始まる「6月」以降
食品産業は原材料価格の高騰や人件費・物流費の上昇を受けて企業の利益が圧迫されている。東洋水産が1月31日に発表した2018年4~12月連結決算では、売上高は前年同期比2.2%増の3061億円だったが、営業利益は11.2%減の197億円、純利益は9・4%減の147億円だった。同じ時期の日清食品HDも売上高が2.1%増の3367億円、営業利益が3.3%減の347億円、純利益が14.9%減の247億円で、同じような傾向にある。
いわゆる「軽減税率」によって食品は2019年10月の消費税率引き上げの対象ではないが、それだけに、他業界よりいわば優遇されているだけに、その前後に値上げには動きにくい。「6月出荷分」というのは最後のチャンスであっただろう。そのチャンスをものにしたことを市場が歓迎しており、日清食品HDが2月5日の取引時間中に値上げを発表した際、その株価は一時、前日終値比9.2%(650円)高の7690円まで上昇した。
今後の焦点は消費者の反応だ。今はNHKの連続テレビ小説「まんぷく」の効果でチキンラーメンが飛ぶように売れるという現象も起きているが、6月以降、実際に値上げされた場合にどうなるか。市場では「買う人にとっては生活必需品なのであまり影響はない」との見方もあるが、「多少の買い控えは覚悟が必要」との指摘もあり、行方が注目されている。