甲子園決勝で「大味」な試合が多い理由も...
右肩の故障で野手転向を余儀なくされたが、肩を休めることで右肩痛は和らぎ、日常生活には支障なかったという。ただ、投手として右肩の炎症は致命的で、右肩痛をおして臨んだ96年選抜大会決勝戦の当時の状態を次のように語った。
「私の場合、肩に加えて肘の状態も良くなかったのですが、その場合、どうしても痛みや肩の重さのためリリースが早くなってしまいます。ピッチャーにとってリリースは1ミリの感覚の世界です。1ミリでもリリースが早くなれば、その分、バッターは球筋の見極めが早くでき、バッター有利になるのです」
下窪氏によると、甲子園の決勝で打ち合いになる「大味」な試合が見られるのは、連投する投手の肩の疲労が蓄積され、リリースポイントが早まることで打者有利な展開となるのではと推測する。下窪氏自身、高校時代、2点以上失った記憶はあまりなかったといい、選抜での決勝戦では「気が付いたら3点失っていた。自分でも驚いた」と振り返る。