2019年2月17日に行われた看護師国家試験で不適切とみられる出題が多数あったとして、全国の看護師養成施設が加盟する日本看護学校協議会が22日、厚生労働省に要望書を提出した。
要望書によれば、正答が複数あるなど不適切とみられる出題が11問あった。その背景として、予備校担当者はチェック体制の甘さを指摘する。
厚労省「審議会で審議する際の参考にする」
看護師国家試験は300点満点で240問出題される。例年6万人ほどが受験し、合格率は約9割だ。
要望書では、今年の試験に「正答が2つ考えられる」「教育内容として周知されていない」などとして、11問の不備を指摘する。
出題が不適切のため採点除外となった問題数は年々増えている。過去5年間では0、1、4、8、10問と推移する。不備の理由には「問題としては適切だが、受験生レベルでは難しすぎるため」「選択肢に正解がない」「複数の正解がある」などが挙げられている。
看護師試験対策を指導する東京アカデミーの担当者は3月1日、J-CASTニュースの取材に、作問のチェック作業が甘いと指摘する。担当者によれば、問題は外部の有識者が作成するものの、最終的には厚労省が不備などを確認するという。
一方で、「長く続けていると重箱の隅をつつくような問題が増えてしまう」と一定の理解も示す。仮に11問すべてが採点除外でも受験生への影響は「ほとんどない」とする。
厚労省医政局は1日の取材に、要望書は「審議会で審議する際の参考にする」と回答。年々不適切な問題が増えているのは「毎年違う問題を作っているので必ずしも単純比較はできない」としつつ、試験実施後の審議の内容を踏まえて改善策は講じているとした。
(J-CASTニュース 谷本陵)