背景には「安心感や連帯感」が
識者は2人のリツイート理由をどう見ているか。J-CASTニュース編集部は2月26日、元TBSキャスターで白鴎大学客員教授の下村健一さん(メディアリテラシー教育)に話を聞いた。
取材に対し、下村さんはキーワードは前出の「安心感」や「連帯感」だと指摘した。以前、学生たちに「誤報に導かれて崖から落ちる危険性」を警告した際、「皆と一緒に『そうだそうだ』と言いながら崖から落ちる方が、孤立するよりはマシ」という声があったという。
そのうえで下村さんは「安心感や連帯感を事実確認より重視する人に対して、ファクトチェックは無力」と指摘。普段、慎重な人でも「『ツボ』にはまった時にはブレーキが緩む。何か初めての情報を見て気持ちよさを感じたら、意識的に注意する癖をつけたほうがいい」と語った。フィフィさんのツイートが拡散された背景については、「一緒に叩く連帯感と、多くの人に『ツボ』にはまる気持ちよさがあったことが重なり合った」と分析した。
著名人でもあるフィフィさん。下村さんは「普段から言動を見ていると、知り合いのような気持ちになるから警戒心が緩む」と語り、誰が発信者かで機械的に信憑性を判断するのは賢明ではないという。「『この人のいうことは信じる』という全肯定と、『この人のいうことは信じない』という全否定はまったく同じ態度の背中合わせ」と決めつけの危うさに警鐘を鳴らし、「一個一個の中身について、『これ初めて聞く』と思ったら一旦立ち止まろう」とアドバイスする。