五輪控え「新たなトラブル」懸念する関係者
上記のものとは異なるケースで、金銭問題が発覚したスポーツ競技団体も。2018年8月に、全日本剣道連盟において昇段審査の際の不正な金銭授受問題が発覚した。同連盟が統括する剣道、居合道、杖道(じょうどう)のうち、居合道部門で長年にわたり段位・称号取得の際に金銭授受が横行していた事実が関係者の告発によって表面化。昇段審査で受験者から審査員に100万円単位の謝礼が渡されることもあったという。
居合道の昇段審査は、剣道とは異なる審査方法を用いて行われる。1対1の対戦方式で行われる剣道とは異なり、居合道の場合は審査員が演武の内容を評価するもの。このため昇段審査において審査員の主観が入る恐れがあり、以前から客観性に欠けるとの指摘もあった。加えて、審査員の入れ替わりがあまりないことから、これらの要因が不正につながったとの見方もある。
このようにスポーツ競技団体にまつわる金銭トラブルの陰には、団体トップの長期政権による「独裁」の現実が見えてくる。五輪出場の経験を持つアマチュアスポーツ関係者は「今はだいぶ改善されてきましたが、団体によってはまだ古い体質を引きずっているところもある。団体のトップが長期政権を築いているところほど、お金に関してあまりいい噂は聞きません。東京オリンピックのイメージのためにも今後、新たな金銭トラブルが出なければいいですけど...」と不安をのぞかせる。
任期途中で急逝した八木祐四郎前会長から2001年10月にJOC会長職を引き継いだ竹田会長。JOC会長として歴代最長となる「長期政権」を築き、2020年東京五輪の誘致を成功に導いた立役者でもあるが、同五輪招致をめぐる贈収賄問題はいまだ燻ぶったまま解明には至っていない。