「ガキが...舐めてると潰すぞ」 YouTubeサムネ画像ネタはなぜ流行ったのか

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共通する「捏造」の力、その二面性

   スクロール動画のサムネイルは、言ってしまえば「捏造」です。

   実際には怒っていないのに、怒っているかもしれないと思わせる。多少事実を変えてでも、わかりやすく興味を引く形にすることは、噂話のニュース、すなわちゴシップの基本的な手法と言えるでしょう。

   また、スクロール動画には、芸能人のサムネイルを使っている肖像権的な問題、他サイトからテキストを流用するケースがある著作権的問題があります。

   しかしながら、捏造はまた、一定の面白さを生み出す側面があることを、今回のサムネイルの流行から見て取ることができます

   捏造という言葉は、一般には「実際になかったことを事実のように仕立て上げること」を意味しています。

   しかしそもそも、捏造の「捏」という文字は、土に水などを加えて「捏ねる(こねる)」ことを意味します。子供の頃に、土遊びや泥遊びで、現実にありもしないものを作って楽しんだ経験がある人は、少なくないのではないでしょうか。

   「写真に好き勝手な字幕を割り当てる」という泥遊びは、昔からネット上で行われてきました。

   猫がしゃべっているかのようなおもしろ画像は英語圏では「LOLcats」と呼ばれ、2006年頃から生まれています。

LOLcatsの一例
LOLcatsの一例

   ある画像をもとに、いかにも言っていそうな発言を作り出して面白がる。昔からネット上の文化には、そういう性質があります。

   ゴシップを生み出すために捏造が行われていたスクロール動画でしたが、その捏造という手法は、昔からあるネット文化に通じるものがあった。

   その結果、YouTube芸能人サムネイル画像が、ネタとして広がっていったのではないでしょうか。

(木村すらいむ)


プロフィール
ネットと言葉、スラングとミームが好きなだけの人。ネット文化を解説するサイト「文脈をつなぐ」を運営。1992年・群馬生まれ、茨城在住。

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