広島の球団に「交通費請求できる?」 抽選券「大混乱」で弁護士に聞いた

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   プロ野球の広島カープの抽選券問題が波紋を広げている。広島は2019年2月25日、今シーズンの公式入場券販売抽選券を本拠地のマツダスタジアムで配布。当日は球団の想定をはるかに上回る約5万人が殺到し、パトカーが出動するなどスタジアム周辺は大混乱に陥った。球団は緊急措置として抽選権の配布の途中打ち切りを決行。1万人近くのファンが抽選券を受け取ることが出来ない事態となった。

   球団は25日に公式ホームページで「2019年度 公式戦入場券販売整理券の抽選配布終了のお知らせ」と題して「本日マツダ スタジアムにて行っておりました、公式戦入場券販売整理券の抽選配布は終了いたしました。ご了承くださいますようお願いいたします。」と声明を発表。さらに翌26日には「2019年度 公式戦入場券販売に伴う抽選券配布についてのお詫び」との題で、配布の打ち切りの経緯を説明した上でファンに謝罪した。

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広島が事前にアナウンスした抽選券配布条件とは

   今回の騒動の大きな要因は、抽選券配布にあたって球団が当初公表した条件との相違にある。球団は1月29日に公式ホームページで抽選券配布について以下のようにアナウンスしている。

■抽選券配布日時
2月25日(月) 午前11:00(予定)~
※午前11:00までにご来場されたお客様に抽選券を配布いたします。
※抽選券は2100名を超えても、ご来場されたすべてのお客様に配布します。
※配布開始時間は当日の状況により早める場合がございます。
※上記期間以外での配布はいたしません。

   球団の発表によると、2月25日午前11時までに来場したすべての人に抽選券を配布するとしている。入場券は3月1日(800人)と2日(300人)にわたって販売され、抽選に当選した計2100人を対象に販売される予定だが、抽選券の配布にあたり、2100人を超えた場合でも午前11時までに来場すれば配布すると公式発表していた。

抽選券を受け取れなかったファンへの球団の対処は?

   球団の想定を超える人数が詰めかけたとはいえ、配布当日の警備体制は十分とはいえず、配布打ち切りという「失態」を招いた。当日は、抽選券を求めて遠方から駆け付けたというファンも多数おり、抽選券を取得出来なかったファンが球団関係者に詰め寄るシーンも。このような経緯のもと、上記の球団によるファンへの謝罪がなされたわけだが、抽選券を取得できなかったファンへの対処については一切触れられていない。

   広島は入場券の販売方式をこれまでの先着順から抽選方式に今年から変更したばかり。シーズン1年分の入場券が3月1日と2日に販売されることから、この機会を失えば入場券を入手することは非常に困難で、インターネットでは転売とみられる入場券が高額で売買され社会問題化している。

   抽選方式に変更になったことで、入場券の入手に悩まされてきた多くの広島ファンがわずかな可能性を求めて殺到したが、その可能性すらつかめなかったファンが続出。抽選券の配布を受けることが出来なかったファンはこのまま泣き寝入りしなければならないのか。また、遠方から来場したファンは球団に交通費や宿泊費を請求することが出来るのだろうか。J-CASTニュースは、「曙橋共同法律事務所」(東京・新宿区)の石田拡時弁護士に見解を聞いた。

球団の法的な落ち度はある?

   石田氏は「法的観点から見ると、今回のケースは非常に難しい微妙な問題です。弁護士、裁判官でも人によって見解が分かれると思われます」と前置きした上で、自身の見解を示した。

「今回のケースは、結果からみると球団がファンを騙して球場まで足を運ばせて、さらに約束に反して抽選券の配布を途中で打ち切った、ということになります。この場合に球団に法的責任が生じるかについて、判断のポイントは、今回の一連の対応について球団に落ち度、法的な過失があると言えるかという点だと思います」

と、今回の騒動のポイントについて言及し、さらに続けた。

「ニュース報道からうかがい知る事情からすると、今回のような異常な混乱を球団が事前に予測することは極めて困難だったように思うので、法的な意味での過失はなし。すなわち法的には責任なし、という結論になると思います。したがって球団に対して交通費等の請求は出来ないでしょう」

   このように石田氏は、一連の騒動の流れを汲んだ上で、球団に法的責任はなしとの見解を示した。広島は2月27日午前、球団の公式ホームページで「厳正な抽選を行った結果は以下の通りです」として、入場券販売抽選券の抽選発表を行った。

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