巨人・阿部慎之助捕手(39)が2019年2月26日、沖縄セルラーで行われた中日との練習試合に「9番・捕手」として出場した。捕手での出場は2016年3月20日の西武戦以来、1073日ぶり。先発の山口俊投手(31)を3回までリードし、2安打1失点の内容でまとめ、首脳陣に存在感をアピールした。
捕手として抜群の安定感を見せた阿部だが、打撃でも結果を残した。人生初という9番打者を務め、2回2死から145キロの直球を左前へ。この朝から緊張しっぱなしだったという阿部は「一本どんな形でも結果が出たのが良かった」と満足げに振り返り、手ごたえを感じていたようだった。
今シーズンは、原辰徳監督(60)の要望により、一塁手から本来の捕手にコンバート。今シーズンは、FA(フリーエージェント)で新加入した炭谷銀仁朗捕手(31)、小林誠司(29)と正捕手の座を争っているが、キャンプ終盤でようやく与えられた数少ない出場機会で結果を残した。
原監督の本音とは
原監督は阿部の起用法に関して、一塁手や代打専門ではなく捕手に専念させる意向を明かしている。だが、関係者によるとこの発言は炭谷と小林の競争心を煽るための建前で、本音は違うところにあるという。
「原監督はキャッチャー阿部には期待していないでしょう。39歳の年齢を考えれば当然。現にキャンプでは体調不良で若手の練習にはついていけてない。いくら練習試合とはいえ、本気でキャッチャーをやらせるつもりなら3回で下げることはまずしない。ピッチャーじゃないのだし。この日の阿部のキャッチャー起用は、原監督お得意のパフォーマンスとみるべきでしょう」
では、原監督の本心はどこにあるのか。前出の関係者は次のように指摘する。
「巨人の功労者」としての期待が
「阿部は年齢的にいつ引退してもおかしくない。原監督は、阿部の引退後のバッテリーコーチを考えているはず。阿部は巨人の功労者で、投手陣の人望も厚い。原監督は、阿部の選手としての最後をキャッチャーとして終わらせてあげたいとの気持ちがあったはず。阿部の引退後、スムーズに入閣させるための手段としてキャッチャーに戻したのでしょう」
今キャンプでは、阿部が若手にアドバイスを送るシーンが多くみられ、「コーチ」としての才能もみせつつある。事実上、今シーズンの正捕手は炭谷と小林の2人の争いになるとみられ、阿部は代打の切り札としての起用が濃厚。年俸1億6000万円(金額は推定)のなんとも贅沢な代打要員だが、将来を見据える巨人にとっては決して高くないかもしれない。