「ドンッ!」「ガンッ!!」...あまりの迫力に、会場中が、かたずをのんだ。
2019年2月24日、東京都・大田区総合体育館で行われた「パラスポーツ観戦・応援イベント『BEYOND STADIUM』」内の「ウィルチェアラグビー」。その激しさに、観戦に訪れた小池百合子都知事、放送作家のテリー伊藤氏も、あっけにとられた。
バスケなどの要素も取り入れた新感覚スポーツ
記者も30年以上、ラグビーに携わってきたが「ウィルチェアラグビー」を生で見たのは、初めてだった。体育館内のバスケットコートと同じスペースで行われる。1チーム4名の男女混合で競技し、障害のレベルに応じて、0.5点(障害が重い)~3.5点(障害が軽い)の合計8.0点を超えないように、チームを構成しなければならない、というルールだ。
車いす使用、人数といったところも含め、通常のラグビーと最も違うのが「ボール」だろう。ラグビーは楕円球(だえんきゅう)を使用して15人で行うが、同競技はバレーボール試合球(5号球)サイズの球形のボールを用いる。
また、ラグビーで禁じられている「前パス」もOK。ドリブルもできるなど、さながら「バスケットボール」「アイスホッケー」「ラグビー」の要素を取り入れた新感覚のスポーツと言っていい。
その試合で、一番、驚いたのが「タックル」だった。通常のラグビーなら、走ってくる選手を体で「タックル」するが、そこは車いす同士。ボールを持った相手に車いすごとぶつかり、金属の激しい音が場内に鳴り響く。
実は記者も、左大腿骨を骨折し、5か月ほど入院&リハビリを経験したことがある。起きてトイレに行く以外は、基本的に寝たまま。唯一の移動手段が「車いす」だった。
それを武器に、正面からぶつかり合うなんて...。ヤバすぎるでしょ! 実際、試合中もハードタックル(正面衝突)を受けた選手の車いすが横転。カメラのファインダー越しに見ていたが、思わず助けに行こうか...と思うほどの衝撃だった。