プロ野球の広島は2019年2月25日、本拠地マツダスタジアムで今季公式戦の入場券購入に必要な抽選券の配布を行った。マツダスタジアム周辺には、抽選券を求め約5万人が詰めかけたが、球団は当初の想定を大きく上回る人数に対応出来ず抽選券の配布を途中で打ち切った。抽選券を取得できなかった一部ファンが、球団職員に詰め寄る場面もみられ、パトカーが出動するなどマツダスタジアム周辺は一時、騒然としたムードに包まれた。
広島の公式戦入場券は近年、インターネットなどでの転売が顕著化し、これに伴い価格の高騰に歯止めがかからない状態になっていた。球団は転売防止策の一環として、今年から新たな入場券の販売法を導入。これまでは、マツダスタジアムにて先着順で販売していた方式を、抽選方式に変更することで転売の鎮静化を図った。
「ほんとに恥ずかしいよ」「給料泥棒」
入場券は3月1日、2日の両日において、マツダスタジアム内の窓口で販売される予定で、1日に1300人、2日に800人の計2100人を対象に販売される。この日配布された抽選券は、その2100人を選出するためのもので、球団は当初、抽選券配布にあたっては2100人を超えた場合も午前11時までに並んだ人に対しては抽選券を配布すると発表していた。
球団は当初、1万人近くの人出を想定していたというが、実際はこれを大きく上回る人がマツダスタジアム周辺に集結したため、午前11時からの抽選券配布の予定を1時間以上前倒した。球団の苦肉の策も5万近くの人数をさばき切れずに配布を途中で打ち切り。約1万人が時間内に並んだにもかかわらず抽選券を取得することが出来なかった。すでにファン倶楽部限定で2月8日から入場券の先行販売が行われていたが、即日完売の状態で、先行で入場券を入手出来なかった多くのファンが大挙詰めかけたとみられる。
抽選券を取得出来なかったファンからは抗議の声が殺到。一部のツイッターユーザーがSNS上でこの模様を動画でアップすると一気に拡散された。動画内では、女性ファンが警備にあたった球団関係者に「カープのチケットの売り方が毎年出てるじゃん。あれ、ほんとに恥ずかしいよ」と訴える場面も。また、警備体制が不十分だったとして球団職員に向けて「給料泥棒」と罵声を浴びせるファンもみられた。
「2大問題」解決できない広島球団
毎年のように繰り返される広島の入場券問題。販売方式の課題として広島ファンから指摘されていたのが、「先着順」と「一括販売」だ。今回は公平性を謳って抽選方式に変更したが、結果的には抽選券の配布を受けられなかった者が続出し、公平性を大きく欠くものとなった。一方の「一括販売」については改善の兆しが見られず、入場券の購入は1人につき5試合までとの条件が付けられたが、購入枚数は制限されていない。
ネットでは広島ファンのみならず他球団のファンからも球団の見通しの甘さを批判する声が寄せられ、改善を求める声が殺到している。また、今回の騒動によってマツダスタジアムの入場券の転売が増え、価格が高騰してプラチナ化するのではとの不安の声もみられる。
「安易に考えていた球団の甘さが出たね。」
「各球団が転売対策を強化しているが広島はかなり遅れているように思う」
「転売屋もずるがしこいから、抽選券も多人数で大量に獲得してくると思う」
「たぶん今年も発売してすぐにヤフオクで何倍もの値段になったものが出ていると思う。」
広島はこの日、球団の公式ホームページで「2019年度 公式戦入場券販売整理券の抽選配布終了のお知らせ」と題し、「本日マツダ スタジアムにて行っておりました、公式戦入場券販売整理券の抽選配布は終了いたしました。ご了承くださいますようお願いいたします。」とコメントを発表した。