NHKで放送中の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』の受動喫煙シーンをめぐり、「受動喫煙による健康被害の場をなくす」ことを掲げ活動する公益社団法人「受動喫煙撲滅機構」が抗議している。
機構の担当者は取材に、「たばこだけは堂々と出ているのは変じゃないでしょうか」と憤る。一方、機構への批判的な電話、メールも寄せられているという。
「番組テロップなどで謝罪をしてください」
受動喫煙撲滅機構は2019年2月19日、NHKへ申し入れ書を送った。
申し入れ書では、『いだてん』に受動喫煙シーンが頻繁に登場するため、受動喫煙の容認を助長したり、出演者・スタッフの受動喫煙被害を招いたりしているとして、NHKに以下の2点を求めている。
(1)『いだてん』において、受動喫煙のシーンは、今後絶対に出さないでください。
(2)『いだてん』で、受動喫煙場面が放映されたことについて、番組テロップなどで謝罪をしてください。
機構の担当者は25日、J-CASTニュースの取材に、テレビ局へ申し入れ書を送付したのは初めてだと明かした。
「今まで受動喫煙がそれほど目立った番組はなかったです。今回の件はNHKで、しかも未成年者も見る時間帯で頻繁に受動喫煙シーンが映っており、さらには同局の『バカボンのパパよりバカなパパ』や『ゲゲゲの女房』では受動喫煙シーンが配慮されていた過去があったためです」
過去には『風立ちぬ』論争も
機構には、「それだったら時代劇で人を斬るシーンも削除しろというのか」「遊郭のシーンはどうなのか」といった批判がメールで20通、電話で4件寄せられたという。しかし担当者は、
「歴史上の事実なら何でもいいということになれば、差別表現とかセクハラとかそういうのもありになるのでしょうか。人を斬るシーンなら血がドバっと出たり、内臓が飛び出たりというのはテレビでは配慮されてやらないはずです。ところがそうした配慮はせずに、たばこだけが堂々と出ているのは変ではないでしょうか」
と理解を求めた。
NHKから回答がなかったり、納得できない回答だったりした場合、あらためて別の対応を検討するとしている。
受動喫煙をめぐっては、宮崎駿監督のアニメ映画『風立ちぬ』も注目された。作中で主人公が肺結核の妻の前で喫煙するシーンがあり、禁煙推進団体「日本禁煙学会」が「なぜこの場面でタバコが使われなくてはならなかったのでしょうか。他の方法でも十分表現できたはず」と批判し、ネット上で議論となった。