動画SNS見放題が規制へ――?
朝日新聞が2019年2月19日、「スマホ『動画SNS見放題』、一部規制へ 総務省」(デジタル版)の見出しで報じると、各社が後を追い、大きな話題になった。では今後、具体的にどのような「規制」がされるのだろうか。
「格安SIM」をキャリアが後追い
「動画SNS見放題」で代表的なのは、ソフトバンクが18年8月から提供している「ウルトラギガモンスター+(プラス)」だ。動画配信サービスはYouTube、AbemaTV、TVer、GYAO!、huluが、SNSはLINE、Twitter、Instagram、Facebook、TikTokが対象で、これらのサービスを使う際には、データ通信量がカウントされない(一部例外ケースあり)ことが売りとなっている。
一部サービスに限ってカウントフリーにするサービスは、いわゆる「格安SIM」では数年前からあった。FREETEL(当時)は15年10月、アップルの「App Store」からのアプリダウンロードを通信料無料にするプランを開始。16年に入ると、「ポケモンGO」や、各種SNSを無料にするサービスも登場した。
そして16年11月には、BIGLOBEが、YouTubeやAbemaTVなどを対象とする「エンタメフリー・オプション」が登場。17年7月にはリンクスメイトが、AbemaTVやSNSに加えて、「グランブルーファンタジー」などのソーシャルゲーム(ソシャゲ)をカウントフリーにするサービスを開始した。
これらはユーザーにメリットを与えるが、事業者が通信データを平等に扱う「ネットワーク中立性」の面では疑問視もされている。総務省の有識者会議「ネットワーク中立性に関する研究会」(18年10月設置)では、そのあたりの議論も重ねられてきた。
「すぐなくなる」わけではなさそうだけど
19年2月20日には、研究会の第7回会合が行われた。これに先がけて報じられたのが、朝日などの「『動画SNS見放題』規制へ」だ。総務省サイトには、第7回の会議資料として、研究会が取りまとめた中間報告書案が掲載されている。
同省は07年に「ネットワークの中立性に関する懇談会」(研究会とは別の有識者会議)による指針を定めた。しかしその後、「ゼロレーティングサービス」(カウントフリーのこと)や「スポンサードデータ」(コンテンツ提供者側がデータ使用料を負担する仕組み)など新たなサービスが登場したこともあり、それらを念頭に置いた、新たなルールを決めていこうとしている。
中間報告書案では、ゼロレーティングやスポンサードデータをめぐる論点として、利用者と利用者以外での費用面の公平性や、対象・非対象コンテンツでのネットワーク利用の公平性などを挙げたうえで、
「萌芽的なサービスであり、このような商業的慣行については、一律に禁止するのではなく、予見性を確保する観点から一定の判断基準を示した上で、ケースバイケースで事例を検証・分析し、問題事例については電気通信事業法等に基づき事後的に対応することが有効である」
などと指摘し、年内をめどに指針を取りまとめ、運用するのが適当だとした。
研究会での議論は今後、最終報告書としてまとめられる予定だ。すぐに「動画SNS見放題」がなくなるわけではなさそうだが、今後の展開には注目だ。