エコノミスト「効果を過大に見ているのではないか」
もう少し当面の数字を詳しく見てみると、2019年度は消費税増税に伴って消費の落ち込みなどが懸念され、民間試算は概ね実質成長率0%台との見方が多いが、試算が前提とするのは1.3%と民間の2倍の水準。税収は予算案で66.5兆円と過去最高レベル水準を見込む。2020年度も民間予測の3倍近い1.6%成長、税収66.3兆円を見込んでいる。ちなみに前回試算の2020年度は1.4%成長、税収66兆円だった。
こうした数字には「ポイント還元やプレミアム付き商品券など効果が未知数の消費税増税対策の景気押し上げ効果を過大に見ているのではないか」(エコノミスト)などの疑念が尽きない。
実は、試算は、より現実的な現状並みの実質1%前後の成長率を前提にした数字も公表している。これだと、2025年度のPB赤字は6・8兆円となる。冒頭に紹介した1.1兆円とは5.7兆円もの開きがある。
この試算を、大手紙は諮問会議の翌31日朝刊で一斉に報じた。主な見出しをみよう。
日経「黒字化なお1年遅れ/高め成長でも26年度/甘い想定、実現は不透明」
朝日「25年度も1.1兆円赤字/最大限の成長前提/厳しい黒字化達成」
毎日「黒字化前倒し/高成長前提、2026年度に」
読売「赤字1.1兆円/25年度試算 黒字化1年前倒し」