建設関係のネットメディアに掲載された「ダムカレーは不謹慎だ」とする記事に、日本ダムカレー協会のツイッターアカウントが2019年2月21日に発言した内容が、ネット上で話題を呼んでいる。
協会は「多くのダムカレーは、過疎化に悩むダム水源地の方々が考えだしたものです。少しでも活気が取り戻せたらという気持ちから誕生しています」と主張。22日16時時点で9200以上リツイートされている。
「被災地の土木屋が大激怒」と題された記事が話題に
そもそも「ダムカレー」とは協会公式サイトなどによると、ダムをモチーフにしたカレーのこと。ごはんは堰堤、カレールーは貯水池を表現するもので、2009年ごろから全国的に増えている。特に定義はないが、店の人が「ダムカレー」といえば、「ダムカレー」になる。
そんな「ダムカレー」について19年2月21日、「ダムカレーは不謹慎だ、ふざけるな!被災地の土木屋が大激怒」と題した記事が、建設関係のメディア「施工の神様」で公開された。大雨土砂災害の復興工事に従事しているという執筆者は記事で、「ダムカレー」や「ビルカレー」の存在を知り、怒りを感じたと激しく主張した。
「批判を覚悟で物申したい」と前置きしたうえで、「ダム」や「ビル」を壊して食べることが悲惨な災害を連想させるなどと批判。被災などが続く状況では軽率な行動ではないかと疑問を投げかけ、カレーを面白がってPRしたり食べたりしている人を目にしたら、腹が立つなどと切り捨てた。執筆者たちは日々血のにじむような努力を積み重ねていることもあり、どうしても許せない「施工管理技士に対する侮辱」だと表現している。
協会のツイートには賛同ツイートが
この記事に対し、日本ダムカレー協会が21日11時40分ごろ、ツイッターを更新し、
「多くのダムカレーは、過疎化に悩むダム水源地の方々が考えだしたものです。ダムカレーで、少しでも活気が取り戻せたらという気持ちから誕生しています」
と発言。投稿には「不謹慎とかあり得ない。下らない意見に耳を貸す必要ないですよ」「ダムカレーは悪くないと思う!!」など賛同を示すリプライが相次いだ。
J-CASTニュース編集部では22日、日本ダムカレー協会を主宰する宮島咲さんに電話取材した。
宮島さんは東京都墨田区の料亭「割烹三州家(かっぽうさんしゅうや)」の「ダム事業部長」として、ダムカレーの調理などをしている。2007年に宮島さんの店のダムカレーがテレビで取り上げられたのを契機に、ダム周辺にあるレストランの関係者が「やってみよう」と始め、全国的に増え始めていったという。
宮島さんは記事を発見した経緯について、「ダムカレー協会の者として、毎日ネットであふれかえる『ダムカレー』という言葉をチェックしており、21日朝に発見した」と明かした。
ダムカレーをきっかけに「土木はすごいんだ」と思う人も
取材に対し宮島さんは、
「災害で被災されて苦しんでいる方の気持ちも非常にわかるが、ダムカレーは過疎化に悩む水源地、ダムで自分の土地を追われた人が、なんとか自分の土地をもう一回盛り上げようとして心を込めてつくったアイテム」
だと説明し、「頭ごなしに『ダムカレーは不謹慎だ』というのは、住んでいる方やダムで追われた方を否定することにつながりかねない」と反論。「地方でがんばっている飲食店が『少しでも町を盛り上げよう』と考えたダムカレーを否定されることにかちんときますよね」と語気を強めた。
「おまけにダムカレーを食べに来て、ダムを見て、『ダムってすごいんだ、土木はすごいんだ』と思ってくれる人も多いわけですよ。(書いた人は)それすら否定することになってしまうんじゃないか」
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)