プロ野球の巨人は2019年2月20日、沖縄セルラーで韓国・KIAと練習試合を行い、丸佳浩外野手(29)が、2番右翼で先発した。14年5月以来となる右翼で出場した丸は、無難に守備をこなし、打撃では初回に中前を放ち3打数1安打。原辰徳監督(60)の右翼起用に結果を残した丸に、今シーズン「2番・右翼」固定の可能性が浮上してきた。
この日の試合は、開幕に向けた新たな守備隊形のシミュレーションとして位置付けられたもの。6年連続で中堅手としてゴールデン・グラブ賞を獲得している丸が右翼で先発し、中堅には陽岱鋼外野手(32)が入った。内野では、4番DHの岡本和真内野手(22)の代わりに中島宏之内野手(36)が3塁の守備に入り、新外国人クリスチャン・ビヤヌエバ内野手(27)が1塁でスタメン入りした。
超攻撃的打線の軸となる丸をどう生かす?
守備を固定せず、多くのバリエーションを持つことで、シーズン中に多彩なオーダーが組めるメリットがあり、原監督が推し進める戦略のひとつだ。また、これに加え、守備を固定しないことで出場機会をうかがう若手の競争意識を高める目的もあり、レギュラー陣の危機感と合わせての相乗効果を見込んでいる。
中堅手としてのこれまでの実績から、丸の中堅固定が想定されているが、ここにきて「2番・右翼」案が浮上。複数の関係者によると、原監督は丸の守備の負担を減らすために中堅ではなく、右翼に固定して起用する可能性があるという。
現在の巨人のオーダーは、丸を2番に置いた超攻撃的な布陣となっている。ただ、このオーダーは1、2番が崩れた場合、その機能を失い、打線につながりがなくなり得点力が大きく落ちる恐れがある。「諸刃の剣」になりかねないオーダーだけに、打線の核となる丸を右翼に起用することで打撃に集中させる目的があるようだ。
2番・丸に求められる3番以上の結果
巨人の外野手は、陽岱鋼を中心にアレックス・ゲレーロ(32)、亀井善行(36)の実力者に加え、重信慎之介(25)、松原聖弥(24)、石川慎吾(25)ら若手が控える。丸の右翼構想は、外野手の層が厚い巨人ならではのもので、丸が右翼に固定されれば、中堅は陽岱鋼と亀井の2人が、左翼は守備に不安があるゲレーロと若手が争うことになりそうだ。
関係者のひとりは原監督が丸に寄せる期待の高さを次のように語る。
「当初、首脳陣は丸が3番を打つものだと思っていたが、原監督の意向で2番に持っていった。見方によっては3番より2番の方が精神的に楽かもしれないが、丸の場合、3番以上の期待と結果が求められる。今シーズンは丸の2番で押し通すつもりでしょうから、原監督としても、この打線で失敗するわけにはいかないし、今シーズンは優勝が義務付けられているようなものですから。丸と心中覚悟ですよ」
昨オフの大型補強など、他球団とは一線を画して独自路線を突き進む原巨人。至上命令の「優勝」の重圧が、2番・丸の両肩にずしりとのしかかる。