「その言動は、研究・指導・教育という業務上適正な範囲でなされるものではなく、発言自体その表現において許容限度を超え、著しく相当性を欠くものであり......」。北里大学を運営する学校法人北里研究所は、教育職員の男性(53)に3か月出勤停止の懲戒処分を科したと発表したが、その処分の理由が物々しい。
一体どのようなことがあったのか。人事部担当者は「アカデミック・ハラスメント(アカハラ)」に類することだと話している。
「研究室や教室内の環境を悪化」「働く権利、就学上の権利を侵害」
北里研究所が処分を発表したのは2019年2月15日。公式サイト上で、「被処分者は、所属する講師ならびに学生に対し、勤務形態、研究室運営、研究活動等の様々な局面で非違行為を行った」として、
「その言動は、研究・指導・教育という業務上適正な範囲でなされるものではなく、発言自体その表現において許容限度を超え、著しく相当性を欠くものであり、精神的・身体的苦痛を与え、研究室や教室内の環境を悪化させ、働く権利、就学上の権利を侵害した」
と処分の理由を説明した。就業規則に違反する行為だったとしている。
北里研究所の人事部担当者は18日、J-CASTニュースの取材に、暴言・恫喝などではなく「アカデミック・ハラスメントに類するものです」と説明した。
担当者によると、一般的に他の大学・機関から来た教員はそれまでの研究を継続しようとするが、以前からその研究室に所属していた教員や学生の研究内容と微妙に異なることは少なくない。新しくやって来て上の立場に就いた教員が、部下らに自身の研究を強要するようなことがあると、「論文を出し、学会で発表して積み上げたキャリアが失われてしまうことにもつながります」。このような関係の中で軋轢が生じ、部下の講師や学生に被害が生じたという。
「再三注意してきたが、改善が見られなかった」
被害を知った大学側がヒヤリング調査を実施。問題は少なくとも数年間にわたって続いてきた。男性教員に対しては「再三注意してきたが、改善が見られなかった」ため今回の処分を決定した。
発表文では「発言自体その表現において許容限度を超え」などの表現から強く問題視していることが伺えるが、一体どんな発言があったのか。担当者は、「言われた学生・講師が非常に傷つき、学ぶ上、働く上で支障を生じたことは確か」としたが、「具体的な発言内容は明かせない」とするにとどめていた。
3か月の処分期間が明けても引き続き指導するといい、「解雇ではありませんので、自身を見つめ直していただき、戻ったらしっかりとやっていただきたい」と話していた。