「盗人たけだけしい」韓国議長のヒートアップ 時系列でたどると見えるのは...

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   韓国の国会議長発言をめぐり、日韓関係が一層混迷を深めている。慰安婦問題について、首相か天皇陛下の謝罪で解決する、といった趣旨の発言を行い、日本側が謝罪と撤回を求めているが、韓国側は応じていない。

   発言が報じられてから10日経ったあとも、事態は収束に向かうどころか、議長が「私に謝罪しろとは何事か」「盗人たけだけしい」と反論、これに対し菅義偉・官房長官が「極めて遺憾」と会見で述べるなど、ヒートアップする様相をみせている。日韓の外務省も対応・認識がすれ違ったままだ。

  • 外務省が公表した日韓外相会談の内容(画像は外務省サイト)
    外務省が公表した日韓外相会談の内容(画像は外務省サイト)
  • 外務省が公表した日韓外相会談の内容(画像は外務省サイト)

「謝罪する側が謝罪せず、私に謝罪しろとは何事か」

   2019年2月18日、聯合ニュース(ウェブ日本語版など)は、韓国の文喜相・国会議長のインタビュー記事(取材は、訪米を終えて帰国直前の15日<現地時間>)を配信。文議長は、自身の発言に対し、安倍晋三首相が反発していることに関し、

「謝罪する側が謝罪せず、私に謝罪しろとは何事か」

としながら、

   「盗人猛々(たけだけ)しい」と述べた。さらに、発言を巡り日韓関係の対立が深まっていることについて、

「(日本国内で)コーナーに追い詰められた安倍首相の政略的な思考」

と分析してみせた。

   この「たけだけしい」発言について、菅長官は18日の会見で「先般の国会議長の発言は、はなはだ不適切」としたうえで、

「その後も不適切な発言を繰り返しており、極めて遺憾だ」

と非難した。

   発端となった議長発言が報じられた8日以降の主な動きについて、時系列(現地時間)で日韓の報道などから振り返る。

   【8日】米ブルームバーグが、英語と日本語で配信した文議長とのインタビュー(取材は7日)を報じた。日本語版記事によると、「文在寅大統領に近い文議長」は、慰安婦問題について、

「一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっきり解消されるだろう」

と語った。

   【9日】この議長発言は翌9日にかけて、日韓のメディアが相次いで報じた。また、日本の外務省は長嶺安政駐韓大使が韓国外務省第1次官に抗議した(8日には局長級で抗議)。

当初は「報道は本意でない」と説明していたが...

   【10日】河野太郎外相は、訪問中のフィリピンで、文議長発言に関して、「発言には気をつけていただきたい」とコメント。韓国政府からは、議長の発言が意図とは違うように報じられた、との説明があったことも明かした。

   【11日】文議長は記者団に、(天皇陛下を「戦争犯罪の主犯の息子」と発言したと報じられたことについて)「重要な地位にある指導者の心のこもった謝罪を強調する流れで飛び出した表現」「戦争時の日本の国王の息子という意味だ」と釈明。(朝日新聞は9日、インタビューに同席した国会報道官が「(文議長は)戦争犯罪という表現は使っていない」と説明した、との記事を配信していた)

   【12日】菅長官は会見で、議長発言について「はなはだしく不適切な内容を含むもので、極めて遺憾である旨を厳しく申し入れ、強く抗議した」と述べた。韓国政府側からは、報道のされ方は本意ではなかったとの説明があったとも明かした。安倍首相は衆院予算委員会で、韓国側に抗議し、謝罪と撤回を求めたことを明かした。

   一方、文議長は安倍首相らの抗議について、「到底理解できない」と謝罪を拒否する考えを記者団に示した。韓国外務省の報道官は会見で、「日本側が誠意ある姿勢を見せる必要があるとの点を強調する趣旨と理解している」と議長発言を擁護した。

   発端のインタビュー記事を報じたブルームバーグは、自社サイトでこの日までに、インタビューの音声データなどを公開。「戦争犯罪の主犯の息子」との表現が記事の通りにあった、と複数のメディアが報じた。

「改憲のための外敵」論が韓国では浮上

   【13日】安倍首相はこの日も衆院予算委で、謝罪と撤回を求める考えを示し、「極めて遺憾だ」と述べた。産経新聞は社説(主張)で「韓国議長の暴言 直ちに撤回と謝罪をせよ」との見出しで、強く批判した。

   韓国メディアでは、KBSテレビが、日本側の反発について、安倍政権が改憲を果たすため、外敵を作って国内を固める思惑がある、といった分析を披露。

   【15日】ドイツで日韓外相会談。日本側は文議長発言について、「日本の立場を改めて伝達した」と公表。

   【16日】一方、韓国外務省側は河野外相からの抗議はなかったと否定。これに対し河野外相は「(謝罪と撤回の要求は)再三再四、申し上げている」と反論し、混乱が広がっている。

   そして18日、先に触れた文議長の「盗人たけだけしい」発言などの動きがあった。さらには、朝鮮日報によると、文議長は「謝罪する考えはない」とし、「謝罪の主体としては、安倍首相が1位、その次の2位が国王(天皇)になる」と指摘した。

   日韓関係をめぐっては、韓国最高裁判決で日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟の問題や、韓国海軍の駆逐艦をめぐるレーダー照射問題などで対立が深まるなか、文議長発言問題が加わり、事態は一層複雑化している。

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