静岡新聞が社民党の福島瑞穂参院議員(63)をめぐって「実妹が北朝鮮に生存している」などと書かれたコラムを掲載し、後日「事実ではありませんでした」と訂正のうえ謝罪した。
インターネットでは「ミスのレベルを超えた誹謗中傷の類」「まずは編集部がファクトチェックするレベルではないか」など、同紙に疑問が相次いだ。なぜコラムは紙面に掲載されたのか。
「ギクシャクし続ける日韓関係」と題したコラム
訂正が載ったのは静岡新聞2019年2月9日付朝刊の2面。ページ下部の1段に、
「6日付朝刊2面論壇『ギクシャクし続ける日韓関係』で、『徴用工に賠償金を払えということになっているが、この訴訟を日本で取り上げさせたのは福島瑞穂議員』『福島氏は実妹が北朝鮮に生存している』とあるのは、いずれも事実ではありませんでした。おわびして訂正します」
と短く書かれている。
問題となった6日朝刊のコラム「論壇」は政治評論家の屋山太郎氏(86)が寄せたもので、2面の右上に掲載された。1200文字ほどのボリュームがあり、後段では慰安婦問題を取り上げた後、
「徴用工に賠償金を払えということになっているが、この訴訟を日本で取り上げさせたのは福島瑞穂議員。日本では敗訴したが韓国では勝った。福島氏は実妹が北朝鮮に生存している。政争の具に使うのは反則だ」
と、福島氏の名前をあげて断定調で批判的に論じていた。
これらの記事が一部ユーザーによりツイッターやネット掲示板にアップされると、その内容が物議を醸した。「突如沸いて出た妹説 出所はどこだろう?」「ミスのレベルを超えた誹謗中傷の類」といった声のほか、
「静岡新聞ともあろうものが、こんな素人でもわかるデマをなぜスルーしてしまったのか?」
「まずは編集部がファクトチェックするレベルではないか」
と、同紙の体制に疑問を示す声もあがっていた。
「福島瑞穂参院議員から弊社に抗議をいただきました」
日本ABC協会のデータをもとに作成された静岡新聞社の媒体資料(18年版)によると、同紙の販売部数は64.1万部となっており、地方紙としては最大級の規模を誇る。静岡県内での朝刊シェアは58.9%にのぼる。少なくない読者を抱えており、ネット上では「報道記事は大きいのに、訂正記事は小さい こんなの見てる人少ないし、誤解が広がったままだろ」といった懸念もあがった。
静岡新聞社編集局は14日、J-CASTニュースの取材に応じ、訂正のきっかけとなったのは福島氏側からの指摘だったことを明かした。
「福島瑞穂参院議員から弊社に抗議をいただきました。お詫びした上で、福島事務所と協議し、訂正記事を掲載させていただきました」
一方、6日の「論壇」記事が「なぜそのまま誌面に掲載されたのか。内容に問題はないという認識だったのか」という質問に対しては、
「寄稿された記事のチェック漏れにより事実に反した記述が掲載され、お詫びと訂正を掲載いたしました。今後は一層、チェック体制を強化します」
との回答だった。今回の記事は紙面掲載のみで、同社サイトを含め他メディアへの露出はないとしている。