世界遺産・二条城(京都市中京区)の砂利道が訪日外国人客らからの苦情で舗装されるとの一部報道に、京都市元離宮二条城事務所は2019年2月12日、「そうした事情はありません」と否定した。
舗装をめぐっては、SNS上で「そこまで外国人におもねる必要がどこにある?」と否定的な声が複数寄せられていた。
来場者6割が訪日客
報道では、訪日客らから「歩きにくい」との苦情が寄せられていたため、市が二条城の通路の大部分を占める砂利敷きを舗装する方針を決めたと伝えていた。
記事が公開されると、ツイッターでは「京都市の信じられない感性と知性」「ここは日本人の国で二条城は日本の文化遺産。そこまで外国人におもねる必要がどこにある?」などと市の決定に反対する投稿が相次いだ。
京都市出身でお笑いコンビ「ブラックマヨネーズ」の吉田敬さんも「土に戻すならわかる。世界遺産が歩きにくいなら、『そこでも歩きやすい靴を貸す』とかじゃないとおかしい」と苦言を呈した。
2017年の二条城の来場者は約243万9000人(前年比28.1%増)と過去最多だった。そのうち約6割は訪日客が占める。市は案内標識の多言語化や英語でのガイドツアーなど訪日客の取り込みを進めており、19年4月からは入城料の支払いにクレジットカードなどのキャッシュレス決済を導入する。
一方で18年4月には、二条城の敷地54か所にお香のような粉をまいたとして、台湾籍の女3人が建造物侵入の疑いで逮捕される事件もあった(朝日新聞デジタル4月19日記事)。
「高齢者やお子様連れ方にたいへんなご負担」
二条城事務所は2019年2月12日に公式サイトで、通路の一部を舗装する計画は事実だとしつつ、「一部報道で、訪日観光客のためという趣旨の記事がありましたが、そうした事情はありません」と発表。実際は、車イスやベビーカーの車輪が砂利に埋まって走行しづらく、「高齢者やお子様連れ方にたいへんなご負担」をかけているためと説明した。
すでに地下埋設物の調査に着手しており、
「二条城の有する歴史や文化を尊重し、景観を大切にしながら進めたいと考えており、文化庁や有識者の意見をお聞きしながら進めてまいります」
としている。