高橋洋一の霞が関ウォッチ
実質賃金があぶりだす「アベノミクスの正しさ」

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実質賃金がいつ上がるのか

   そもそも、このような数字改善の動きは、アベノミクスの問題を示すものではなく、むしろ政策の正しさを示している。マクロ経済政策では、最優先されるのは雇用だ。その次には所得が上がればいい。民主党政権時代には、雇用の確保ができなかった。就業者数は減少した。これはマクロ経済政策としては落第だ。安倍政権になってから、就業者数は激増したので、ここは及第だ。

   所得はどうかといえば、総所得は名目、実質ともに増加、平均賃金は名目は増加なので、ここまでは及第。しかし、実質賃金はイマイチだ。経済理論からいえば、景気の拡大によって、雇用量がまず増加し、それにともないながら名目総所得が増加。その勢いがよければ、インフル率を凌駕し実質総所得も増加する。

   この拡大による新規雇用の人の賃金は初めのうちは低いので、名目総所得は増えても平均的な名目賃金は上がらない。しかし雇用が逼迫して一部の名目賃金が上がりだし、それが広がり、平均的な名目賃金も増加。今のところはここだ。

   さて、実質賃金がいつ上がるのか。人手不足がさらに進み、経済成長が本格化するときだ。これまでの歴史を見ても、完全にデフレ脱却してからでないと実質賃金は上がっていない。一部の野党は、2018年のマイナスを政府に言わせたいのだろうが、それ以前も言及されると、アベノミクスの方向性の正しさとなって、薮蛇ではないか。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「ド文系大国日本の盲点 反日プロパガンダはデータですべて論破できる」(三交社)など。


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