「そんなにメダルというなら...」
キャスターとのやりとりのなかで出た言葉は、五輪代表選手の個々の気持ちを無視するような形でメダル獲得ばかりを願う者を批判するようなものだった。「そんなにメダルというなら自分でやればいいじゃないか」。当時、過激とされた千葉さんのコメントは波紋を呼び、「オリンピックは楽しむつもりで出た」との発言は、五輪代表選手としての資質を問われた。
23年前の当時、国を背負って五輪に出場する選手は、個々の意志が尊重されることなく過度のメダルの期待をかけられ、メディアもそれを大きく報じた。このような風潮は徐々に薄まってきたとはいえ、2020年東京五輪は地元開催ということもあり、代表選手には過去の大会を超える大きな期待が寄せられるだろう。
桜田五輪相の「がっかり」発言の真意は分からないが、発言内容から五輪にかける代表候補選手に対するリスペクトを見出すことは難しい。不用意な大臣の発言、そしてそれを批判する世間の声。23年前、世間の批判にさらされた20歳の発言を改めて思い返すと、その言葉の重みを感じる。
白血病を公表してから一夜明けた2月13日に自身のツイッターを更新した池江選手は、「私は神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています。もちろん、私にとって競泳人生は大切なものです。ですが今は、完治を目指し、焦らず、周りの方々に支えて頂きながら戦って行きたいと思います」と綴り、「必ず戻って来ます」と決意の言葉で締めくくった。
(J-CASTニュース編集部 木村直樹)