競泳女子の池江璃花子選手(18)が白血病と告白した影響で、日本骨髄バンクに「登録したい」などの問い合わせが殺到している。
とはいえ、登録が増えても、ドナー不足解消にはクリアすべき課題もあるようだ。
「登録したい」などの問い合わせが270件も来たが...
「普段は、1日に5、6件の問い合わせが来ますが、昨日は、1日で270件もありましたね」。骨髄バンク広報渉外部の担当者は2019年2月13日、J-CASTニュースの取材にこう明かした。
「ドナー登録したいが、できるのか」「寄付したい」といった電話やメールが多いという。骨髄バンクの公式サイトにはこの日、アクセスが殺到して、正午前後などにつながりづらい状態になった。
登録するには、駅前の献血ルームなどで申込書に必要事項を記入し、白血球の型を調べるための採血をすればできる。ただ、年齢は、18歳以上、54歳以下で、気管支ぜんそくや肝臓病などの慢性疾患にかかっていないなどの条件がある。
骨髄移植を希望する患者と白血球の型が適合すると、登録者に郵送で通知され、アンケートを返送してもらった後、コーディネーターと面談する。ドナーに選ばれると、家族とともに最終意思確認が行われ、同意すれば撤回できない。患者の生死に関わる状況になるからだ。
移植に当たっては、4~7日入院し、全身麻酔するなどして骨髄採取が行われる。時には、採取後に痛みが伴うことがあり、仕事などにも影響する可能性はある。100%安全とは言えないのが骨髄移植だ。
埼玉県在住のある会社員男性(24)は、高校3年のときに先輩に連れられて、JR大宮駅前の献血ルームで登録した。
候補者の健康状態変化などで、移植率はまだ6割弱
「なんてことはないだろうと軽い気持ちでしたが、移植を体験してみたいとも思いました。その後、大学2年のときに郵送で通知が来て、コーディネーターと埼玉県立がんセンターで面談しました。しかし、当時は太りぎみで、BMIの値が高くてギリギリと言われました。母親も病気にかかっていることも伝えると、それが不安材料になると断られ、もう1人の候補者に決まったようです」
会社勤めになった後の2018年11月も、ドナー候補者になったと通知が来たが、椎間板ヘルニアにかかっていることを伝えると、また断られたという。
骨髄バンクの広報渉外部によると、ここ5年ほどは、毎年2~3万人が登録し、5年ほど前より約5万人も増えて、18年末現在で50万人近くになっている。その一方で、埼玉の男性のように健康状態が変わったり、55歳の年齢制限に達したりするなどして登録できなくなり、取り消す人も増えているそうだ。
40~50代が55%を占めており、ここ5年ほどは、2万人前後が登録抹消になっている。少子高齢化もあって、若い人たちの登録が伸び悩んでおり、抹消の増加にどう対応するかが今後の課題だとしている。
「白血球の型の適合率は95.6%で、患者はほぼ1人以上のドナー候補者が見つかっている計算になります。しかし、候補者の健康や仕事、気持ちが変わっていたり、患者側の希望に合わなかったりします。移植希望者は毎年3000人ほどいますが、2017年は実際の移植を受けたのは57.4%に留まっており、まだドナー不足が続いている状態ですね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)