東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者を指すとみられる「特定の記者」が、菅義偉官房長官の定例会見で「問題行為」を行っているとして、首相官邸が記者クラブに対して「問題意識の共有」を求める文書を送っていた問題は、2019年2月12日の衆院予算委員会でも取り上げられた。
国民民主党の奥野総一郎氏は質問に立ち、取材の段階で事実関係と異なる質問を封じることについて「民主主義国家としてあってはいけない」などと指摘した。これに対して、菅氏は「取材じゃないと思いますよ?『決めうち』ですよ」と反発。望月氏が意図的に事実と違う発言を記者会見で行っているとの見方を示した形で、閣僚としては異例の反応だ。
過去に9回にわたって東京新聞に抗議
奥野氏は、質問が事実と異なっているのであれば記者会見の場で反論すべきだと指摘した上で、
「取材の段階において、こういう紙(記者クラブに対しての文書)を出して、事実に反することを聞くな、というのは、私は、民主主義国家としてあってはいけない」
などと官邸の対応を批判した。
菅氏はこの指摘に先立つ奥野氏とのやり取りで、望月記者が18年1月の会見で、デビッド・ケイ国連特別報告者との面会を「政府側がドタキャンしたという経緯があった」と質問したが、菅氏への面会依頼の事実がなかったことなど、事実関係に誤りがある質問が他にもあったことを指摘。過去に9回にわたって東京新聞に抗議し、一部については「事実誤認があった」といった回答があったことを明かしている。菅氏はこういった経緯を念頭に、
「取材じゃないと思いますよ?『決めうち』ですよ。事実と異なることを記者会見で、それも、事前通告も何もないわけですから。私だってすべて承知しているわけじゃありませんから...。しかし『ドタキャンした』とかですよ、午前中質問(編注:「発言」の言い間違いだとみられる)していないことを、(午後の会見で)『こういう発言があったけど』。それはいくらなんでもやりすぎじゃないでしょうか。お互いにルールを守って、この記者会見は行われるものだろうと思っています」
などと語気を荒げた。