文化としての「クラシックカー」守る重要性
自動車先進国の英国やドイツなど欧州諸国では、同様のクラシックカーイベントが盛んだ。それは自動車を文化として認め、ビンテージワインのように年輪を重ねたクラシックカーを楽しむ伝統があるからだ。日本でも日本クラシックカー協会はじめ、全国で有志が主催するイベントが育ってきたが、総本山ともいえる同協会のイベントが中止となる影響は計り知れない。
同協会は1977年に東京プリンスホテルで第1回のニューイヤーミーティングを開催して以来、明治神宮絵画館前、明治公園などと会場を変更し、2003年からは基本的にお台場の特設会場で開いてきた。
最終回となった今回は1950年製の英国クーパーMGから1984年製のいすゞジェミニZZ/Rまで166台が参加。ロータスヨーロッパ、「箱スカ」と呼ばれる日産スカイライン2000GT、ホンダS600/800などが多数参加したほか、珍しいところでは日野コンテッサ1300S、トヨタパブリカ800、日産チェリーなども参加。日本の自動車メーカーの技術的進歩や産業史を垣間見ることができた。会場のあちこちでは、懐かしいクルマをカメラに納めるファンの姿が目立った。
東京都心のクラシックカーイベントとしては、トヨタ博物館が主催し、毎年秋に明治神宮外苑で行なう「トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル」がある。こちらは展示だけでなく、往年の名車が銀座など東京都心を走るパレードが有名で、トヨタだけでなく国内外のメーカーのクルマが多数走る。トヨタ自動車が日本でもクラシックカーを文化として根付かせようという熱意が伝わってくる。42年の歴史に幕を閉じた日本クラシックカー協会のニューイヤーミーティングも課題を乗り越え、いつの日か復活することを期待したい。