トヨタ自動車とパナソニックが2020年末までに車載用電池の新会社を共同で設立する。
トヨタは2020年に自社ブランドの電気自動車(EV)を投入する予定で、2社の経営資源を結集し、EVの基幹部品である車載用電池の安定調達を盤石にする考えだ。
関係者が見た協業の「主眼」
「基本はイコールパートナーの精神だが、電動化は自動車産業の課題と切り離せないので、マジョリティをとらせてもらう」(トヨタ自動車の好田博昭パワートレーンカンパニー主査)。2019年1月22日の記者会見でのコメントに、新会社設立へのトヨタの意気込みが表れている。
新会社の出資比率はトヨタが51%、パナソニックが49%。トヨタは電池関連事業をすべて新会社に移し、パナソニックはテスラに供給する円筒型電池事業など一部を除き移管。新会社には両社から3500人が移る。さらに、電池の販売はパナソニックが担い、トヨタ以外の自動車メーカーにも電池の供給を目指す計画だ。
背景には、車載用電池の需要拡大と性能競争に対するトヨタの危機感がある。トヨタの電動車はハイブリッド車(HV)が中心でEVでは出遅れてきたが、2020年にはEVの販売を始める予定。さらに、2030年ごろには世界販売台数の約半数に当たる年間550万台をプラグインハイブリッド(PHV)やEVなどの電動車にする方針を掲げている。中国や欧米などで進む環境規制強化に対応するためで、2018年の約3倍以上の規模だ。そのために不可欠なのが車載用電池の安定確保だった。
ただ、現状の電池では走行距離の短さや充電時間の長さに課題がある。新会社ではまずはEVに多く使われるリチウムイオン電池の性能向上や量産化によるコスト削減に取り組むが、その先に次世代電池の「全固体電池」の共同開発を見据える。全固体電池の実用化に成功すれば、電池の開発・販売で優位に立つことができる。そのため、「両社の経営資源を集約して実用化に早急にメドをつけるのが今回の新会社設立の主眼」(関係者)と言われる。